トップページインタビューこれからの企業は“最適化をデザインする”ことが不可欠
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これからの企業は“最適化をデザインする”ことが不可欠

“企業に合った仕事”ではなく“人に合った仕事”をアレンジ

2011.05.12   日本CHRコンサルティング代表取締役社長 中西史子 氏

「職場のストレスが原因でうつ病を発症するなら、治療だけでなく、なぜ、そのストレスの現場である職場で、根底から対処しないのか」。医療という世界を知らなかったからこそ抱いた当然の疑問。これがCHRコンサルティング株式会社社長を務める中西史子氏が、職場のメンタルヘルスに関わる新たな契機となった。
同社は、十数年前から産業メンタルヘルスの研究に取り組んでいた精神科医の渡辺洋一郎氏を中心に、産業医や開業医、弁護士、社労士などの専門家集団として2008年に設立。
「Corporate Health Responsibility」=CHRをポリシーに、企業が果すべき「健康責任」をサポートしているコンサルティング企業である。
「経営」と「医療」という、アンビバレントと思われた2つを融合することで、うつ病の治療やリワークのみならず、その根本にアプローチするソリューションを提供してきた。設立から3年。リワーク受け入れ側の現場で何が起きているのか、その問題点などについて伺った。
(聞き手:日経BP社日経BPnet編集プロデューサー 阪田英也 構成:21世紀医療フォーラム取材班 但本結子)

中西史子 氏
中西史子(なかにし・ふみこ)氏
1994年、甲南大学文学部英文学科卒業後、積和不動産関西株式会社に入社し、1996年に同社退社。1998年、インターネットショップ「ハートギフト」を開業し、翌年、株式会社ハートギフト設立。2005年、キャリアデザイン・インターナショナル株式会社へ改組。2007年、英国国立ウェールズ大学大学院経営学修士修了(MBA)。2009年、日本CHRコンサルティング代表取締役就任。2000年日経ウーマン・オブザイヤー・ネット部門8位受賞。2008年日本テレワーク大賞奨励賞受賞。

日本CHRコンサルティングのCHRとは、「Corporate Health Responsibility」であり、キャッチフレーズは、「日本の労働力を治療するメンタルパートナー」です。まず、設立までの経緯、企業としてのコンセプト、渡辺洋一郎先生との出会いなどについてお聞かせいただけますか。

中西 私が起業したインターネットショップの「ハートギフト」は、ネットで注文を受け、ギフト用に包装して送ります。この形態であれば在宅勤務が可能なため、社会復帰を目指す主婦や、外出しにくい障害を持つ方の就労支援として業務を委託しています。この事業と併行して、再婚者専門のウエディングもプロデュースしていたところ、知的障害のある子どもさんを持つ女性の再婚を手掛ける機会がありました。

この女性は知的障害者のための活動をサポートしており、私どもはその一環として開催されるコンサートのお手伝いも引き受けたのです。そこで、精神疾患について医師に後援していただくことを思い立ち、インターネットで渡辺クリニック院長の渡辺洋一郎氏を見つけて、飛び込みで後援を依頼しました。それが、渡辺先生との出会いです。

この時、渡辺先生から、“会社でのストレスなどでうつ病を発症した人のために活動している”と聞きましたが、「なぜ、ストレスの現場となっている職場で、根底から対処しないのか」「どうして就労復帰の支援をしないのか」。医療の素人として感じた疑問を先生にぶつけたところ、「診療が忙しくて、できない」と言われてしまったんです。渡辺先生の仕事は、世の中に必要なサポートですが、“患者を待っていないで、患者が増えない活動をしていただかなければ”と、強く思ったことが、CHR設立のきっかけになりました。

「医療」と「経営」という新しい視点。
これからの医師は企業への関わりが必要

「忙しい」と言われてしまったら、普通はそこで終わる話ですが、そこから医療と企業を繋ぐコンサルティング会社設立へと踏み出すことができたのは、どうしてでしょうか。

中西 ハートギフトの仕事でもそうですが、私は問題があるならどうしてそれを解決できないのかと考える習性があります。時間的に余裕がないなら、営業は私に任せていただき、先生には仕組みを提供していただく。物理的に難しいのであれば、会社を作ってやりましょうと。2006年当時、私がしようとしていたことは、アメリカでちらほら活発になり始めていたEAP〈Employee Assistance Program(従業員援助プログラム)〉だと先生から指摘され、まだ日本にないなら、作ればいい。問題は解決すればいい。そうシンプルに考えただけです。