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心理・社会的ストレスが招く口腔心身症

治療の一環として導入したカウンセリングによる効果とは

2011.03.29  医学博士・心理カウンセラー/株式会社 エム・エイチ・アイ代表 水木さとみ 氏

心理カウンセラーの水木さとみ氏は大学病院などで顎関節症など口腔心身症のカウンセリングに従事した経験を持つ。口腔心身症の症状にはストレスが深く関与していることが少なくない。悩みや不安が痛みを引き起こしていることも多いという。インタビューではそうした人たちに対しての具体的なカウンセリングの方法から、読者が自分でできるストレスマネジメントのコツまで幅広く伺った。
(21世紀医療フォーラム取材班 狩生聖子 文責:日経BP社 BPnet編集プロデューサー 阪田英也)

水木さとみ 氏
水木さとみ(みずき・さとみ)氏
法政大学社会学部卒業後、1985年に日本歯科大学付属歯科専門学校で歯科衛生士を取得。アメリカ合衆国フロリダ州に在住、帰国後、各種心理療法を修得する。
1996年横浜市立大学医学部に口腔外科学専攻の研究生として入学。横浜市立大学医学部の精神医学講座で学ぶ。1999年に株式会社メディカルヒーリング研究所(現在の(株)MHI)を設立する。
2000年に横浜商科大学人権問題・学生相談カウンセラーとして、2003年からは東京医科歯科大学頭頸部心身医学分野の臨床講師、日本歯科東京短期大学の外部特別講師として活躍。内閣府認定NPO法人アクティブ倶楽部理事。
2005年に横浜市立大学より医学博士の学位を授与。現在は心理学・行動科学に基づくコミュニケーション研修・講演、ストレスマネジメント・アンチエイジングに関する研修・講演を一般・企業・医療向けに実施するとともに、心理に関連する各種企画の立案などに携わる。

水木先生は大学病院の口腔外科などで心理カウンセラーとして長く従事されていました。そこではうつ症状を呈する患者さんも多かったそうですが、まずは仕事に従事されたきっかけなどについて教えていただけますか。

水木 最初は顎関節症の発症原因に関心がありました。口が開きにくい、顎が痛い、開口時にカクカクと音が鳴るなどといった顎の症状です。当時、歯科領域での三大疾患として、う蝕(虫歯)・歯周病・顎関節症が挙げられていましたが、顎関節症の病因としては不明な点が多く、素因(顎関節症のなりやすさ)・発症因子(顎関節症を発症させる因子)・持続因子(症状を長引かせる因子)が複合的に関与していると考えられていたのです。

外来にいらした顎関節症の患者さんは、歯ぎしりや食いしばり、また、関連症状として首・肩の懲りを伴っていたことから、心理・社会的なストレスが大きく関与しているのではないかという思いがありました。複数のチェックリストや心理検査・アンケート調査、患者さんの面談を通して明らかになったことは、予想以上に心理・社会的ストレスが関与していたことでした。

心理・社会的ストレスが要因となって口腔領域に誘発する症状を口腔心身症と言いますが、顎関節症の他にも口腔内違和感・舌痛症といった症状の患者さんもいらっしゃり、長期間にわたって症状が続いていらっしゃる患者さんの多くは抑鬱的でした。症状をもつ全ての患者さんがこの診断に当てはまるとは言えませんが、心理・社会的ストレスが疑われた患者さんに対しては、ドクターの治療の一環として積極的にカウンセリングを実施してまいりました。

当時、私は2軒の大学病院でカウンセリングをさせて頂いておりましたが、講座のおふたりの教授は共に歯科医師と医師のダブルライセンスをもっていらっしゃり、おひとりの教授は心身医学認定医でもいらしたことから、カウンセリングにはとてもご理解を示してくださいました。また、精神科にも学びに行かせて頂けたことが、今、振り返ると、とても恵まれた環境であったと感謝しています。