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首と肩の痛みが整形外科でなかなかよくならず、内科を受診した父。原因は介護ストレスだった。

Good Doctor NET 2011. 2. 15 掲載記事より

2011.02.15   21世紀医療フォーラム取材班 ライター 狩生聖子

患者本人が自身のストレスに気づかないこともある。医師にお任せではなく、家族など周囲が不調の訴えを聞き、ともに解決策を探ることも重要だ。

整形外科医では「変形性頚椎症」の診断だったが、鎮痛薬とリハビリでは一向によくならず……。

「首が痛くて眠れないんだけど、何科に行ったらいいのかなぁ」と実家の父親(73歳)から携帯メールが来た。電話をかけると、3ヵ月ほど前から痛み出し、最近は夜になると肩まで激痛が走る。枕を変えてもよくならず、かなりつらいという。病院嫌いの父は、当初、整体や鍼灸などの民間療法で施術をしてもらうことを考えていたらしい。私は、「きちんとX線写真を撮ってもらわないことには、何の病気かわからないから」と整形外科を勧めた。

診断の結果は、「変形性頚椎症」。首の硬い骨の間でクッションの役目をしている椎間板やその周りの硬い骨が変形を起こし、近くを通る神経を圧迫する病気だそうで、主治医いわく、「加齢の影響ですね」とのこと。

しびれなどはないため、外科手術などの必要はないそうで、痛み止めの薬を処方された。それとリハビリの一種の牽引だ。しかし、2週間たっても全く症状は変わらないどころか、悪化する一方。予約日の前にまた受診して、「薬を変えて欲しい」と言ってみたが、「しばらくはリハビリで様子を見ましょう」と言われて帰ってきた。

そんな父が「(首の痛みは)ストレスの影響もあるのかもしれないな」と言い始めた。実は父は数年前から認知症を発症した母の介護をしている。介護とはいっても、母は寝たきりではなく、家事などをするだけでよかった。しかし、3ヵ月ほど前から症状が急激に悪化し、うつの症状が強くなり、あまりしゃべらなくなって、外出もしたがらない。娘の私の顔も忘れてしまうようになり、介護認定の手続きなど、私も実家と東京を行き来していた。

その後、介護の方向性が見えてきて、生活も落ち着いてきていたと思っていたのだが、どうやらそうではなかったらしい。会話の中で父は、「これから先、どうなるのか考えると不安になる。そんなときに首から肩がひどく痛む」という。

これを聞いてようやくピンと来た。うつ病など気分障害では、体の症状として「痛み」が出ることが多いのだった。

そこで早速、日ごろ、血圧の治療で受診しているかかりつけの医師に相談するように促した。本当は心療内科に行けばよいのだろうが、父は躊躇するだろうと思ったからだ。

その内科には母もときおり、受診しており、主治医も事情は推察できるだろう。

さて、受診した結果は……。やはり、うつ病か不眠症と診断がついたようで、抗不安薬を処方してもらって帰ってきた。その夜から薬を服用。すると翌日から首の痛みはうそのように解消したのである。

痛みをあのまま我慢し続けていたら、病状はもっと深刻になっていたかもしれない、と思うとゾッとしてしまった。

首や肩の痛みは整形外科への受診で間違いはないと思っていたが、結果的にそれでは解決できなかった。整形外科医が問診でストレスの有無を聞いてくれていたら……と思うけれど、それは難しいのだろう。整形外科の医師は自分の領域において、きちんと診断、治療をやってくれたと思う。

そうではなく、日本の縦割りの医療体制というのが問題なのだ。やはり、かかりつけ医は大切ということでもある。

そして、もう1つ気づいたのは、家族であれ、友達であれ、悩みを話せる相手が1人でもいることが重要だということ。

特に体の不調は1人で悩んでいるより、誰かに話した方がよい解決策が見えてくるし、気分も楽になるはずだ。医師にお任せというのはよくない。今後は両親に限らず、身近な人の体の相談にきちんと耳を傾けようと思う。