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復職率を高めるためには、多くの企業が「リワーク・プログラム」活用を

第2回(2回連載)

2010.12.21   医療法人社団惟心会 りんかい築地クリニック理事長 吉田健一 氏、医師 吉田麻衣子 氏

医療法人社団惟心会 りんかい築地クリニック理事長 吉田健一 氏
吉田健一(よしだ・けんいち)氏
1999年 千葉大学医学部卒業。東京医科歯科大学医学部附属病院精神科、東京都立荏原(現・公立荏原)病院精神科、千葉県がんセンター緩和医療科医長、千葉県精神科医療センター医長などを経て現職。医療法人社団惟心会(りんかい豊洲クリニック・りんかい築地クリニック)理事長。精神保健指定医・判定医、精神科専門医。
りんかい築地クリニック医師 吉田麻衣子 氏
吉田麻衣子(よしだ・まいこ)氏
2003年 日本大学医学部卒業。北海道大学医学部附属病院精神科、千葉県精神科医療センター、東京都中部総合精神保健福祉センターなどを経てりんかい豊洲クリニック・りんかい築地クリニック医師。精神保健指定医、精神科専門医、日本医師会認定産業医。

精神科専門医で「うつ病リワーク研究会」に所属する吉田健一氏と吉田麻衣子氏夫妻は2008年に江東区・豊洲にメンタルクリニックである「りんかい豊洲クリニック」を開院。09年には復職支援専門の「りんかい築地クリニック」を開院した。都心のオフィス街で働くホワイトカラーの患者を主な対象とし、リワーク施設内はオフィスのように仕上げられていることが特徴となっている。
約6ヵ月間のプログラムは、診療報酬上、小規模デイケアの枠組みで提供されており、プレゼンテーションやディベートを通じて協働作業能力を身につける「グループワーク」などに力を入れている。「開設当初の参加者はわずかでしたが、近隣企業の産業保健スタッフから認知していただけるようになり、徐々に問い合わせや紹介が増えています。スタッフも私たちも日々の業務に追われながらも大きなやりがいを感じています」というお2人。
実際の取り組みと今後の課題について聞いた。
(取材:21世紀医療フォーラム取材班 狩生聖子 文責:日経BP社日経BPnet編集プロデューサー 阪田英也)

「リワーク・プログラム」を実施する中で見えてきた課題はありますか。

吉田(健) すでにこの分野の先達の先生方から指摘されていることですが、双極II型障害の方が4分の1ほどいらっしゃいます。単極性うつ病の患者さんに比べると、自分の気分変動の落差を不調として自覚しやすく、かつ日によっては割と元気なので、ネット検索して当院を見つけやすいからなのでしょうか。患者さん本人には「うつ病というよりは気分の振幅が問題になるタイプの病気ですね」と説明しています。

また、リワーク依頼の紹介状にはうつ病と記載されていても、病状を詳しく観察してみると実は自己愛が非常に強いタイプの適応障害であるとか、発達障害圏が疑われる患者さんに、かなりの割合で遭遇します。具体的には、もともと会社側と労務トラブルを抱えていて、会社や産業医から復職の条件としてリワーク参加を勧められたことが非常に不満で、その怒りを当院初診時にこちらへぶつけてくる方や、リワークへ短期間参加しさえすれば復職できると考えて都内のリワーク実施医療機関を転々としたり、逆にリワーク開始までは順調でも他人との協働作業が苦手で、場にそぐわない言動を繰り返す方もいらっしゃいます。

吉田(麻) 本来、患者さんの他罰性や攻撃性をどのように評価し、向き合うのか、またパーソナリティやソーシャルスキルの未熟さは、どこまでが生物学的基盤に由来し、どこからが生育歴や社会的要因と捉えるべきなのかは、精神科医としてとても興味あるテーマなのです。しかし、いわゆる古典的うつ病の患者さんと同じプログラムで支援していくことには、困難を感じることもあります。

吉田(健) それともう1つ。いわゆる「新型うつ」と呼ばれる人の中には、世間で言われるように社会規範意識が未熟で自己中心的なタイプの患者さんも多く含まれるのでしょうが、発達障害を基盤としたコミュニケーション不全から職場に適応できず、うつ状態を呈している方も、周囲からは「新型うつ」とみなされている可能性があると思います。