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オフィスを想定した施設で行う都心の「リワーク・プログラム」 グループワークや心理教育など多彩なメニューを充実 (3/4)

第1回(2回連載)

2010.12.14   医療法人社団惟心会 りんかい築地クリニック理事長 吉田健一 氏、医師 吉田麻衣子 氏

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吉田(健) 6ヵ月参加をお勧めするのは、1年以上の長期休職をしている方や2回以上休職している方がほとんどです。逆に、リワーク参加6ヵ月目の患者さんの診察に上司の方が同席された際、「6ヵ月でここまで良くなるのなら、あと2ヵ月頑張らせて、もっと回復してから会社に戻してください」とお願いされ、期間を延長したこともあります。

プログラムで特に力を入れているのはどのような点ですか?

吉田(健) 当院では特にグループワークを重視しています。グループワークにはプレゼンテーションとディベートがありますが、プレゼンテーションでは例えば、
「あなたは会社のCSR事業部の社員です。このたび、会社でチャリティー事業を展開する話が持ち上がり、上司から企画を考えるように指示されました。企画会議でプレゼンできるような資料を作成の上、皆の前で発表をして下さい」といったお題を出し、前提となる条件も設定します。

このプレゼンテーションの狙いは、創造力(クリエイティビティ)や協働(チームワーク)力・コミュニケーション・ビジネス感覚・戦略的思考の回復レベルを判断するもので、参加者は、インターネットや新聞、近くの京橋図書館から情報収集して企画をまとめ、1日の最後に発表を行います。

グループによるプレゼンテーションは他者と協調して作業をする感覚を取り戻すことができる。これがとても重要です。最近ではグループワークに参加していない、聴衆役の患者さんにも発表の不足点などコメントすることを課し、発表者の自己満足で終わらせず、次の課題へのモチベーションとなるよう工夫しています。

吉田(麻) 長く休職していると、他人とコミュニケーションを図りながら意見をすり合わせたり対立を解消したり譲歩したりといった感覚から遠ざかってしまいます。しかし、復職して会社に戻ると、すごく高圧的な上司がいたり、処理しきれない量の仕事が回ってきたり、集中して仕事に取り組んでいる時間帯に突然邪魔が入ったり、といった具合にストレス状況に晒されるわけで、グループワークではこうした葛藤状況を繰り返し体験してもらいたいのです。人と協働作業をすることでどの程度疲弊するのかなど、ここで回復の度合いもセルフチェックできます。

復職が近づいた方に対しては、別途グループミーティングを設けて、「復職直後の社内での挨拶回りはどのようにすればよいか」「病気だったの?と聞かれたらどう答えるか」「飲み会に誘われたら何と答えるのか」などをテーマに議論したり、ロールプレイで患者さんに上司役や同僚役を割り振ってそれぞれの立場を疑似体験してもらいます。特にロールプレイは、社員研修などで体験済みの患者さんも多いので、比較的スムーズに導入できたように思います。

グループワークは何ヵ月目からのプログラムですか?

吉田(麻) 2~3ヵ月目くらいから始めますが、最初は心理的にも作業量的にも負荷の小さいプレゼンテーションから、徐々に負荷の大きいプレゼンテーションやディベートへと進んでいきます。現在は毎週木曜日がグループワークの日なので、そこに参加した患者さんたちの、回復度のレベルを判断して行っています。ディベートのテーマも参加者の回復度に合わせた上で、政治的なものや宗教的なものを排除して設定します。グループワークを通して、診察室で診ているだけではわからない、患者さん本来の病状が見えてくることも多いのです。