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ストレスが招く情緒的過食

Good Doctor NET 2009. 5. 11 掲載記事より

2009.05.11   水木 さとみ

食事をしたにも関わらず、目の前にあるお菓子をついつい口に運んでしまう、また、空腹感とは関係なく食事の合間に食べ続けてしまうといったことはありませんか?

 実は、このような行動は、ストレスが要因となっていることが考えられます。そこには自律神経系との関わりから説明することができます。ご存知の通り、自律神経系は交感神経と副交感神経に分かれます。交感神経は、物事に集中したり、緊張したり、スポーツ観戦などで興奮している時に優位にはたらきます。

 一方、副交感神経は、食後ゆったりとしている状態や森林浴などでリラックスしている状態に優位にはたらきます。通常、この両者のバランスは保たれているのですが、ストレスが加わると交感神経が優位になり、副交感神経のはたらきが低下していきます。こうした状態から、身体は再び自律神経系のバランスを整えようとします。

 そもそも副交感神経は消化器系が活動するとはたらきはじめるため、“食べる”ことで、その活動を促します。身体を守るために、無自覚的に食べるといった行動は、一種の防衛反応となっているのですが、この行動が習慣化することで生活習慣病を招いていくことも否定できません。

 また、交感神経優位の状態が長く続くことで睡眠困難に陥ります。寝る時間をとっくに過ぎているにも関わらず、なかなか眠れない(入眠困難)、寝たにも関わらず途中目が覚めてしまう(中途覚醒)、夜遅くに寝たにも関わらず早朝目が覚めてします(早朝覚醒)。このような状態は、やがて集中力の低下・意欲の低下を招いていき、さらにストレスを増強していきます。

 さて、こうした状況に陥らないためにも、日ごろのトレスマネジメントが大切です。日常生活のなかで、もし、空腹感とは関係なく、ついものを食べてしまうようであったら、まず、ストレス状態にあるということを自覚しましょう。

 そして、ゆったりと身体を休めるよう心がけましょう。その日の疲れはその日にとり、蓄積しないことが大切です。では、具体的に、ストレスマネジメントの一環として、最も簡単なリラクセーション方法についてご紹介いたしましょう。

(1)バスタイムを活用したリラクセーション

 健康づくりにも話題になっている半身浴、半身浴をする際には、バスルームの照明を消してロウソクの炎にするのも効果的です。ゆったりとした炎の揺れは気持ちを落ち着け、呼吸や心臓の動きを整えていきます。

 香りの好きな方はハンドタオルにアロマを数滴たらして側に置いておくのも良いでしょう。香りは大脳辺縁に上がり情緒と結びつくと言われています。ゆったりとした心地の良い感覚と香りとの結びつきは筋緊張をやわらげ、リラックス効果が期待できます。

(2)イメージを活用したリラクセーション

 リラクセーションをさらに深める方法としてイメージを活用すると効果的です。「何故、イメージなのか」ということを解説することにしましょう。例えば、心臓を速く動かそうとしても不可能です。心臓は不随筋なので言葉の意思には従いません。

 しかし、過去における怖い出来事を頭のなかで再現し、あたかもそこにいるかのように感じたら、心臓は自然にバクバクと速く動き出します。満員電車が苦手な方、パニック発作の傾向にある方は経験あるかと思いますが、「電車に乗っている間に、呼吸が苦しくなったらどうしよう」「途中下車できなくなって倒れたらそうしよう」などと頭のなかで様々な予期する不安を想像することで、呼吸は浅く速なり、心臓の動きを速め、緊張を高めていきます。

 つまり、頭の中に描くイメージが身体に影響し、症状を導いてしまうのです。自律神経も同様に言葉の意思には従いません。しかし、イメージにはとても好意的にはたらいてくれます。

 例えば、南国の海に自分がいるとイメージしてみて下さい。あたかもそこにいるかのように体験的に感じるのです。白い砂浜に大の字になって寝ている自分をイメージして下さい。背中から感じる砂の感触と温かさ。その場所で感じられる新鮮な潮の香り。肌から伝わる心地の良い風の感触。ひいては押寄せる波の音。その場所で感じる全ての心地の良い感覚は五感を通して味わいます。

 この方法は、副交感神経のはたらきを優位にさせ、深いリラクセーションが得られます。最初は、部屋で自分だけの大切な空間・時間をつくり、ソファーに寝ながら試してみると良いでしょう。呼吸は、ゆっくりと鼻から息を吸い口から吐き出すのが理想ですが、あまり呼吸にとらわれないで、自分にとって心地の良い呼吸を続けていくと良いでしょう。

 また、ヒーリングミュージックなどを聴きながら、胸の上にはアロマを数滴たらしたハンカチを置いておくことで相乗効果が期待できます。この方法を習慣的に繰り返し実施することで、心地の良い感覚が身体的に記憶されていきます。首・肩の凝りといった筋緊張の緩和や自律神経系のバランスを整えるリラクセーションとして最も効果的な手段といえるでしょう。

 ストレスマネジメントは、ご自分にとって最も心地よいと思われる方法を取り入れることが良いでしょう。「毎日やらなくてはいけない」という意志で続ける方法は、かえって逆効果です。疲れた心と身体へのサプリメント・・・そんな感覚で是非楽しんでみて下さい。