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独立行政法人となったナンショナルセンター。
総長が描く「夢の4本柱」

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「国立精神・神経医療研究センター」は将来、どのような姿と役割を持つようにしたいとお考えでしょうか。

樋口 これまでは国立という枠組みの縛りがあって、自由な発想で自由に展開することがいくぶん難しかったといえます。それが独法化によって、設定された中期目標に沿ったかたちであれば、自由な発想で展開してよろしいということになってきました。

そこで今、具体的に進めつつあるのは、「研究所」と「病院」をつなぐ仕組みづくりです。
その目玉が「トランスレーショナル・メディカルセンター」です。ここで、何をするか? 一例を精神医学の研究で説明しましょう。それは、「大規模臨床研究」(*1:編集部注)、そして「コホート研究」(*2:編集部注)です。海外では、発達障害など、いろいろな精神疾患のコホート研究がありますが、日本では、大規模臨床研究というもの自体、ほとんど行われていません。

その理由の1つに、日本では大規模臨床研究をデザインして、プロトコル(確実に実行するための研究の手順:編集部注)をつくることのできる専門家を育成してこなかったということがあります。本来は国家的事業であり、国家的な取り組みである訳ですが、残念ながら、このような人材育成に対して、国は予算を割かなかった。であれば、精神・神経の疾患領域では、当センターが独自にこの課題に取り組もうと考えています。

特に精神疾患の多くは、これからコホート研究が重要になってくると思います。しかし、コホート研究は、対象集団の設定、調査・研究に当たる研究者の確保、そして長期間にわたる調査などのシステム設計が必要なことから、大学でも民間でも、まず無理です。唯一これが可能なのがナショナルセンターです。もちろん、ナショナルセンターだけでやれるものではありませんから、全国の医療機関と連携しながら、症例を集積していきます。

また当センターには、大規模臨床研究までは行かないが、センターの中でできる臨床研究を、「病院」が中心になって、「研究所」のサポートを受けながら、疾患単位で行う「専門疾病センター」が設置されています。

現在、対象としている疾患は、「パーキンソン病」「MS(マルティプル・スクレローシス:多発性硬化症)」「筋ジストロフィー」「てんかん」「地域精神科モデル医療センター」ですが、次に準備しているのが、「うつ病」「統合失調症」です。「専門疾病センター」といっても、対象疾患別に研究室が分かれているわけではなく、研究者と臨床家が一緒になって、そこに看護スタッフが入り、コメディカルが入り、実質的なチームを立ち上げていきます。実際には、専門外来と入院病棟があって、そこに専門疾病センターの医師、研究スタッフ、コメディカル等が勤務しています。

対象疾患は、“何から手がけるか”という順番を設定する必要はあると思いますが、精神・神経領域の疾患を幅広く扱っていきたいと考えています。