トップページシンポジウム「うつ病の予防・治療日本委員会(JCPTD)」が本格始動。 10月第1土曜日を「うつ病を知る日」と定め、今年10月2日(土)、長崎、徳島、滋賀、東京でイベントを開催(福岡は10月9日)
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「うつ病の予防・治療日本委員会(JCPTD)」が本格始動。 10月第1土曜日を「うつ病を知る日」と定め、今年10月2日(土)、長崎、徳島、滋賀、東京でイベントを開催(福岡は10月9日)

Good Doctor NET 2010年9月27日 掲載記事より

2010.09.27   21世紀医療フォーラム取材班

うつ病の啓発活動を行う「うつ病の予防・治療日本委員会」(JCPTD:Japan Committee for Prevention and Treatment of depression)は、今年3月の法人化(一般社団)により、活動の強化を図る新たなステージに立った。
10月第1土曜日を「うつ病を知る日」と定め、今年10月2日(土)、長崎、徳島、滋賀、東京、10月9日(土)、福岡で、教育講演、専門家医による個別相談会、パネルディスカッションなどをプログラムとするイベントを開催する。

※JCPTD「うつをこえて」シンポジウム参加・相談申し込みは、http://www.jcptd.jp/

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うつ病対策、国家的課題の背景

9月18日、東京丸ビルにおいて開催された記者発表では、まず「うつ病の予防・治療日本委員会」(以下:JCPTD)理事長代行を務める国立精神・神経医療研究センター総長・樋口輝彦氏が「うつ病対策の国家的課題」と題して、うつ病が大きな社会問題になっている背景をテーマとするプレゼンテーションを行った。

樋口氏は、うつ病もその背景にある自殺者数が12年連続で3万人を超え、減少の気配が見えないことを指摘。国を挙げて、自殺予防にさまざまな取り組みがなされてはいるが、この傾向は大きくは変化していないことを憂慮する。

そして、うつ病がその原因となっている自殺の予防には、うつ病の早期発見・早期治療が有効であることを解説。そのためにも、内科医などかかりつけ医によるうつ病の早期発見を促進することが必要であることに言及した。また「不眠」に着目し、『お父さん、眠れてますか?』キャンペーンで、うつ病の早期発見・早期治療を実現した「富士モデル事業」の紹介を通して、かかりつけ医から精神科医にうつ病患者をつなぐシステムの構築の重要性を訴えた。

うつ病の治療は、(1)治療関係の確立、(2)休養、(3)薬物療法、(4)精神療法の4つを組み合わせることが効果的。特に、(1)の治療者と患者との関係がうまくいくかどうかが大切で、そのためには十分に話を聞くこと、十分に病気の説明をすることが基本となる。

(2)の休養も治療の基本であるが、(3)の薬物療法と(4)の精神療法については、両方を併用することが治療効果を上げることが実証されている。樋口氏は、“薬物療法か精神療法か”といった二者択一、または精神療法が薬物療法に代わるものであるかのような、マスコミの取り上げ方の間違いを指摘した。

また、樋口氏は、精神療法の1つである『認知行動療法』に、今年度、診療報酬が付いたが、“精神療法に習熟した医師が、1人の患者について30分以上診た場合”という条件付きであることから、実効性に乏しく、普及していないのが現実と指摘。精神科医のみならず臨床心理士なども含めたチームを組んだ場合にも、診療報酬が付くようにならない限りは実効性を上げられないのではないかと問題提起した。

さらに最近話題になっている新型うつ病については、「新型うつ病」とは学術用語ではないこと。この言葉を使う人によって概念が一致しているものではないこと。「非定型うつ病」=「新型うつ病」のように表現されることもあり、概念自体が少し曖昧になっていると述べ、学会にも責任があるとして明確化していく必要があると訴えた。

うつ病に限らず、我が国のメンタルヘルスという観点から、英国では、「がん」「循環器疾患」「精神疾患」を3大疾患と位置付け、自殺・特定不能の傷害を20%減少することを目標として設定し、精神保健の政策を大きく変更した。それに引き換え、我が国では「精神疾患」が4疾病5事業にも入っていない。最近ようやく、“これは時代に合わない”と、議論が始まりつつあることを報告した。

そして、日本では精神疾患に対して、国家予算の配分が諸外国に比べて低い。それは、精神疾患に対する偏見・差別が諸外国に比べて非常に強く、国民一般の意識に大きな違いがあるから。日本とオーストラリアの“うつ病に対する態度の違い”を調べた調査では、『うつ病の人が隣に引っ越してきてもよい』『親しい友人になってもよい』『近くで仕事をしてもよい』などといった項目で、『強く反対』『確かにそうしたくない』という声が、日本ではオーストラリアに比べて圧倒的に高いことを指摘。

最後に樋口氏は、メンタルヘルス・精神疾患の医療費の総枠について、「国民的なコンセンサスをつくりあげるための精神疾患に対する意識が、国によってこれだけ違う。逆にいえば、ここから変えていかない限り、全体は変わらないのではないか」という感想でプレゼンテーションを締めくくった。