文/梅方久仁子
写真/村田和聡
鳥越俊太郎氏は、1940年生まれ。新聞記者を経てニュースキャスターとして大活躍していた2005年、65歳のときに大腸がんが見つかった。腹腔鏡(ふくくうきょう)下手術で除去したものの、腸閉塞を起こしかけて再入院。手術前に71キロあった体重は、1か月で63キロにまで減少したという。その後も肺や肝臓に転移が見つかり、2009年までに計4回の手術を受けたが、現在はがんは見つからない状態が続いている。
がんと闘う間にもニュースキャスターやコメンテーターとして活動を続け、70歳からスポーツジムに通うなど、新たなことに挑戦。年齢を重ねても、がんになっても、エネルギッシュでいられるのはなぜだろう。人生の先輩に40〜50代のビジネスパーソンへのアドバイスを聞いてみた。
健康のことなど考えていなかった
──若い頃から健康には気をつけていたのですか。
鳥越 40代〜50代の頃には、健康のことなどまったく考えていませんでした。基本的に健康だったから、必要を感じなかったんです。
何も問題がなかったわけではありません。40代からは頸骨(けいこつ)のずれで指がしびれて、今でもそれは続いています。50代には尿路結石の痛みに耐えかねて救急車を呼んでもらったことがあります。痛風の痛みも3回くらい経験しました。父も痛風をやっているので、体質なんだと思います。
尿路結石は大変な痛みでしたが、翌日に石が出たらけろっとして、まったく痛くありません。痛風はじくじくして嫌な痛みですが、薬で尿酸値が下がれば、それでいいと思っていました。だから食事のことなどまったく気にせずに、痛風が出ても、ずっとビールを飲んでいました。身体の不都合はあっても、すべて命に関係ないことなので、健康に気を配る必要などないと思っていたんですね。
──それは、がんになって変わったのでしょうか。
鳥越 がんになってからは、健康とか身体とか人生とかに対する考えが、180度変わりました。がんは死につながる病気だから、自分の命について考えざるを得ません。
40代、50代の人はまだ健康ですから、今はおそらく何も考えられないと思います。きっと命にかかわるはめに陥らないと分からない。人間は、そんなものです。ただ、それでも10年後、20年後には、確実に年を取ります。今から少しだけそのための心構えをして、健康を保つことを考えたほうがいいでしょう。






