石田淳
株式会社ウィルPMインターナショナル 代表取締役社長兼最高経営責任者

 中堅建設資材メーカーの営業部で課長職を務めるR氏は、今年41歳になります。震災復興や東京オリンピックのための需要から受注額は右肩上がりとなっていて、社内は活気に満ちています。ただ、仕事が増えることによって社員一人ひとりにかかる負担がかなり重くなってきています。

 そんなおり、営業部では20代の社員が続けて2人退社してしまいました。個人の成績が厳しく問われるやり方に、ついて行けなくなってしまったようです。

 R氏の上司である営業部長は、そのうちの1人を叱責するときに
「キミの代わりなんていくらでもいるんだ」
と言いました。それを聞いていたR氏は、
「わかっていないな」
とため息をつくしかありませんでした。

 たしかにR氏が20代の頃なら、誰かが辞めてもどんどん新しい社員が入ってきました。とくに、花形と言われる営業部では人員確保に苦労はしませんでした。

 しかし、今回はなかなか補充ができずにいます。仕事が増えて猫の手も借りたいくらいなのに未だに増員がかなっていません。

絶対的労働人口が足りない時代に突入

 一昔前まで、日本企業には「社員の替えはいくらでもいる」という発想がありました。とくに年配社員になればなるほど、そんな言葉を平気で口にしました。「売り手市場」と言われるときですらそうでした。というのも、バブル時代に代表されるような好景気下では、人もいろいろ動いていたので、辞める人が多くても入社する人も多いという状況だったのです。

 しかし、これからは景気に関係なく「人がいない」、つまり絶対的労働人口が足りない時代に突入します。「無い袖は振れぬ」という諺がありますが、いくら美味しいエサをちらつかせようとも「いない人は採用できぬ」時代なのです。

 外食チェーンなどでは、すでに「業績がいいにもかかわらず従業員が確保できずに閉店する」という事態が起きています。この傾向は早晩、ほかの業種にとっても例外ではなくなるでしょう。