石田淳
株式会社ウィルPMインターナショナル 代表取締役社長兼最高経営責任者

 年間売上高20兆円を超えるトヨタでは、100円のボールペン1本買うのも稟議書がいるそうです。本来、経営活動とはそういうものですが、ここまで徹底できている企業はめったにありません。

 最近、大手企業を中心とした40代後半から60代のベテラン社員と話をする機会があったのですが、彼らが口を揃えて言うのが「当たり前のことを徹底する」ことの重要性です。

 身だしなみを整える。時間を守る。目を見て挨拶をする。マメに顧客訪問する。お客様の立場になって考える。ホウ・レン・ソウ(報連相)を欠かさない。備品を大切にする。

 こうした社会人として当たり前のことが、「やっぱり大事だ」と言うのです。

 実際に、トヨタをはじめ、こうした基本を徹底している企業が成長しています。

 では、「徹底する」ためにどうすればいいのでしょうか。徹底するとは、そもそもどういうことなのでしょう。

 行動科学マネジメントでは、徹底するとは「計測すること」だと考えます。

 以前、私がアドバイスしている企業で、一人のマネジャーが「部下の仕事が遅い」とこぼしたことがありました。いくら「早くやれ」と指導しても徹底できないというのです。

 そこで、私はマネジャーに尋ねました。
「では、あなたの求めている早いとは何分のことでしょうか?」

 これに対して返ってきた答えは「いえ、べつにそんな細かいことではなくて…」というものでした。しかし、明確な数値を示してあげなければ部下はわかりません。時間軸と量の計算ができなくて当然でしょう。

 このマネジャーに必要とされるのは、まず、何分でどれだけの量の仕事をして欲しいのかを部下に示すことです。そのうえで、スマホのタイマーなどを使い、実際にかかっている時間を計測させます。