清宮 普美代
株式会社ラーニングデザインセンター 代表取締役

「私が研究開発の運営を統合する指示をしたとき、異なる部署から10名のスタッフを招集して統合チームをつくりました。スタッフ会議は、当初「非チーム的」でした。誰もがひっきりなしに意見を述べ、誰が一番利口かを言い争っていたのです。会議を本来の目的に引きもどすのは難しかったものです。しかし、私の行った質問がグループを変えました。」(製薬会社 シニアマネージャー)

 私たちは、いつも何気なく質問をしています。しかし、実は、この質問を良く整備することで、素晴らしいことが起こることは、あまり知られていません。

 私は、ここ十年以上「質問」による組織開発を行っています。具体的にどんなことを行っているのかといえば、組織内の質問の量を増やし、その質を上げることで、活気ある自立的な組織を生み出すお手伝いをしているといえばいいでしょうか。ただ単に個人に焦点をあて、その質問力を上げることだけでなく、集団としての質問力を上げることに注力をしています。この連載では、質問がなぜ個人と組織にとって大きな力を発揮するのかを紐解いていきたいと思っています。

組織開発の4つのベクトルと3つのレイヤー

 組織開発の定義は、いろいろあると思いますが、私自身は、「組織を生命体と考え、その健康状態をよくしていくこと」と捉えています。たとえば、経営者が行っている、経営戦略を構築することや、業務プロセスを変えること、人事施策を含めた制度を変更することでもあります。

 しかし、(1)戦略を提示し、(2)部署をつくり、(3)制度を導入しただけでは、組織は活き活きと動かないのも事実です。もうひとつ、(4)人的プロセス、つまり組織内のリーダーシップの取り方や関係が整備されていないと、組織はよりよく働きません。この4つは相互に関係しあう、組織開発のベクトルです。

 また、組織をよくしようとしたとき、私たちが関わる対象に3つのレイヤーがあります。1つは個人、2つ目は個人が集まった小集団(チーム)。3つ目は、組織全体ともいえる大集団です。質問は、この3つのレイヤーすべてを変容させる力をもっています。冒頭のシニアマネージャーが言っているように、個人だけでなく、チームを変えることはしばしばですし、組織全体を変容させる力をもっているのです。