白井 剛司
博報堂 人材開発戦略室マネジメントプラニングディレクター

 新入社員OJTに関して、トレーナーとトレーニー(新入社員)の両者が大事にしている5つの要素(軸)をひとつずつ紹介しています。今回は4番目の要素、「相互理解」について解説します。この軸はOJT前半の要素である「任せ方」と「ティーチング」での経験と指導の繰り返しを通じてトレーナー、トレーニーの相互の信頼関係が築けてきたあと、8月から翌2月くらいにトレーナーに意識してほしい重要な概念です。

 まずこの「相互理解」という概念について説明します。一見して皆さんがイメージするのは「お互いの価値観を共有すること」「チームとしての意識を揃えること」というようなお互いの「気持ちの理解」といったことではないでしょうか。確かにそういったチーム員としてのお互いの気持ちや価値観を相互に認め合うことは大切ですし、日頃のコミュニケーションの積み重ねで理解を深めていってほしいと思います。しかし、ここでは、新入社員のOJTとしてもう少し指導寄りの内容で理解してほしいポイントを挙げさせていただきます。

 ここでいう「相互理解」とは以下のような相互の理解をいいます。

(1)トレーナーからトレーニーについての理解
基本としてはトレーニーの仕事への姿勢や癖、指導を与えたあとの理解度をトレーナーが把握していること。そのうえで、トレーニーをここまで育成・指導した中で、本人にとってクリアしてほしい「成長課題」をトレーナーが把握していること。

(2)トレーニーからトレーナーの指導についての理解
「トレーナーが指導で大切にしている<ものさし>」を理解すること。具体的には、主にトレーナーの持つ「暗黙知」や「持論」、仕事をうまく進めるために持っている「心得」「流儀」についてトレーニーがよく理解していること。