佐藤 雄一郎
学校法人産業能率大学総合研究所 マーケティングセンター長

 これまで、合計12回に渡り、「通信研修に関する実態調査(2012年度版)」を基に、通信研修の活用実態や運用上のポイントについてご紹介いたしました。本調査を用いた記事の最終回として、通信研修が企業・組織における人材育成において、どのように効果が認識されているのか、役立っているのかについて分析していきます。

通信研修の活用形態ごとの効果

 本調査は通信研修を導入している企業・組織の人事・人材開発担当者を対象としています。まずは、各企業・組織で導入している通信研修の活用形態ごとに、期待する効果が上がっているのかについて、以下の活用形態ごとに尋ねました。

  1. 自己啓発型
  2. ポイント付与・カフェテリアプラン型
  3. 目標による管理連動型
  4. 昇進・昇格連動型
  5. ポイント制連動型
  6. コンピテンシー・職能資格要件連動型
  7. 特定課題連動型(部門)
  8. 特定課題連動型(全社)
  9. ブレンディング型
  10. 資格取得型

 活用形態ごとの効果については以下の通りです。

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 「期待した効果が十分に出ている」、「期待した効果がある程度出ている」といった肯定的回答の割合が高いのは、

8.特定課題連動型(全社):76.6%
5.ポイント制連動型:75.8%
10.資格取得型:66.3%
3.目標による管理連動型:66.1%

の順でした。学習テーマや目標を明確に定めた上で実施する活用形態の効果が高いと解釈できそうです。

 社員数や業績など企業の属性によって通信研修の効果をどのように認識しているのかを活用形態ごとに4段階評価の平均値をもとに確認します。この設問は4段階評価

期待した効果がまったく出ていない:1ポイント
期待した効果があまり出ていない:2ポイント
期待した効果がある程度出ている:3ポイント
期待した効果が十分に出ている:4ポイント

を用いています。全回答を加重平均して、平均値を比較しました。値は1~4の間なので、中央値が2.5になります。2.5を上回れば肯定的、2.5を下回れば否定的な傾向であるといえます。

 回答状況については以下の通りです。

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 全体平均で比較しても、肯定的回答割合同様、

8.特定課題連動型(全社):2.8
5.ポイント制連動型:2.8
10.資格取得型:2.7
3.目標による管理連動型:2.7

が高い結果となりました。

 正社員の規模別に関しては、項目ごとに効果性への認識が少し異なっていました。

 300~499人規模では、

5.ポイント制連動型:3.1
6.コンピテンシー職能要件連動型:2.7
8.特定課題連動型(全社):3.0
9.ブレンディング型:2.7

が、全体平均よりも0.2ポイント以上高い結果でした。

 500~999人規模では、

2.ポイント付与・カフェテリア型:2.8
5.ポイント制連動型:3.0
7.8.特定課題連動型(部門&全社):2.8、3.0

が全体平均よりも0.2ポイント以上高い結果でした。

 次に、業績別では、「5年前・3年前・1年前売上高より現在の売上高が多い」現在最高売上高企業の方が、「5年前・3年前・1年前売上高より現在の売上高が少ない」現在最低売上高企業に比べて、「1.自己啓発型」、「2.ポイント付与・カフェテリア型」、「3.目標による管理連動型」、「4.昇進・昇格連動型」の平均値が0.2ポイント以上高い結果でした。