石田淳
株式会社ウィルPMインターナショナル 代表取締役社長兼最高経営責任者

 サッカーのワールドカップで優勝候補だったブラジルは準決勝でドイツに惨敗、三位決定戦でも苦杯を喫しました。欠場したネイマールに頼りきりで、チームとしての系統立った人材活用戦略がなかったことが敗因の一つであることは明らかです。

 企業であればなおさら、一部の天才に頼っているわけにはいきません。経営目標に基づいて、いかに普通の人材を効率的に活用していくかという戦略的カリキュラムが絶対に必要です。

 グローバル化の進んだ現在、企業に求められているのは「人材育成」に留まらない「人材開発」です。日本企業は、商品開発や技術開発には熱心でも、人材に関してその視点が抜け落ちています。

人材開発はプロの仕事

 最近になって、「人材開発室」といった部署を設ける企業は出てきました。しかし私から見れば、それは単に人事部の一部の仕事として考えられ、担当を割り振られた人がそのときどきに流行っている研修などを取り入れているに過ぎません。結果的に、なんら成果に結びつかずに終わっているのが現状です。

 本来、人事部の仕事と人材開発はまったく違うものなのです。欧米やアジア諸国、ブラジルなどの新興国のグローバル企業では、人材開発は人事部の誰かが持ち回りで行えるようなものではなく、プロの仕事と考えられています。

 自社の経営目標を達成するには、どのような人材がどのくらい必要なのか。マネジャーや専門職の割合、その年齢構成などはどうすべきか。そういったことを、それぞれのキャリアパスを見据えた上で人事育成プランを練っていくのが人材開発部門です。

 そこには、まずは育成してみてその中から優秀な人材を引き上げるという発想はありません。初めに全体的なプランがあり、それをこなせる人材に育ってもらうためにはどうしたらいいかを考えます。そのため、研修内容一つとっても現実に即したものとなり、結果的に一人ひとりの行動が成果に直結しやすくなります。

 日本企業も一刻も早く、本当の人材開発に手をつけなくてはなりません。