植田寿乃
キャリアコンサルタント/ダイバーシティコンサルタント

 あまり会話も笑顔もなくテーブル席に座る30代40代の女性たちは、ほとんどが未婚。真面目そうで、表情は少し暗く、自主的に参加したわけではなく、言われたから参加しましたというどんよりとした空気が漂っています。これは、つい最近の女性クラスの風景で、私は愕然としました。
 
「まさか、私、昭和時代にタイムスリップしてしまったの?」

 30年前、私が20代の頃に自動車会社のOLだった、あの頃の会社の空気と同じものを感じたからです。黙々と企業戦士として働く多くの男性たちの中に、数人の女性たちが男性のサポート役のように配属され、受動的に仕事をしながら、時間だけがどんどん流れてしまっている感じです。

ほとんどの会社がまだ昭和体質を引きずっている

 研修に参加していた中の化粧っけも全くなく、自分磨きは何もしてないという40代後半の女性は、「今の仕事や生活に悩みはありません。何となく日々を生きています。目標や夢なども特にないです。でも、自分の今後の人生に漠然とした不安があります」と言いました。そして、カリキュラムの中の自立度をチェックする質問「シンデレラストーリーが好きですか?信じていますか?」という問いに、彼女は手を挙げていました。まさに、寿退社の王子を待ちながら、働き続けていた昭和の女性の姿です。

 この会社は重工業系で、社員のほとんどが男性です。5年ほど前から女性活躍推進に取り組もうと担当を置いたものの、今年になってようやく会社として腰が上がったというのが実情。周回遅れどころではなく、世の中から10年遅れている会社です。そして、女性たちのこの状態こそが、会社のダイバーシティ度というか、時代遅れの昭和度をそのまま映し出しています。

 この会社が、これからどのような変化をしていくのか、私はもちろんお手伝いしたいと思います。しかし、どれくらい進むかは会社と経営陣、キーパーソンの女性活躍推進への本気度にかかっています。10年遅れを何年で取り戻すか ―― 。この遅れが取り戻せないままなら、10年後の会社の状態が非常に心配です。

 私はキャリアコンサルタントとして今年で15年目となります。特にこの10年、私は本当に多くの女性のクラスを教えてきています。さらにこの3年は、アベノミクスによる政府の指針も追い風となり、私の年間200日の研修の半分以上が女性だけを教えるクラスとなっています。そして、私に仕事を依頼するそのほとんどの会社が、昭和からの長く古い歴史を持っている会社ばかり。当たり前のことかもしれませんが、ベンチャー企業、外資系企業において、女性活躍推進はテーマではなく、幅広いダイバーシティ(多様な人たちの活用)が課題です。しかし、日本の古い体質を持っている企業においては、その幅広いテーマに行く前の最も大きく重要なテーマとして、女性活躍推進があります。もはや、これに取り組んでいないという会社はないでしょう。女性が働き続けるようになった会社がほとんどです。

 では女性活躍推進は卒業という会社はあるでしょうか?

 そんなことが言える会社は、残念ながらまだほとんどないでしょう。女性役員や女性管理職比率の数値から見ても、それには程遠いという会社のほうが多いのが実情です。つまり、ほとんどの会社がまだ昭和体質を引きずっているのです。もう平成25年です。25年も昔の「日本が高度成長し続けていた古き良き時代?」の会社の組織風土、人生観・価値観をもういい加減卒業し、今の時代を生きて成長する会社と個人になるべき時が来ています。