佐藤 雄一郎
学校法人産業能率大学総合研究所 マーケティングセンター長

 これまで、通信研修の活用形態について、それぞれの特徴を5回に渡り述べてきました。今回は、従業員の学習効果を上げていくための人事・人材開発部門や職場における働きかけに焦点を当てていきます。「通信研修に関する実態調査(2012年度版)」を基に、具体的な施策の実施状況や効果性について分析していきます。

学習効果を上げるための施策

 本調査は通信研修を導入している企業・組織の人事・人材開発担当者を対象としています。通信研修という学習手段を活用して、各企業・組織が従業員の学習効果を上げるためにどのような働きかけをしているのかを、以下の設問から尋ねました。

  1. 学習の段階から複数名でのグループ受講を奨励・支援している
  2. 学習の段階からリポート添削内容のアドバイスや解説を行っている
  3. 学習した内容を職場内の勉強会等で発表する場を設けている
  4. 学習した内容を業務の中で実践できる機会を設けている
  5. 学習した内容について一定期間経過後に確認テストを実施している
  6. 学習した内容について行動の変化を観察しフィードバックしている
  7. 職場の上司がメンバーの学習状況・学習内容を把握し、支援している
  8. 人事・人材開発部門から現場に対して学習促進のための各種情報提供を行っている
  9.  施策の実施状況については以下の通りです。

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     実施ありの割合が高いのは、「8.人事・人材開発部門から現場に対して学習促進のための情報提供を行っている」(45.4%)、「7.職場の上司がメンバーの学習状況・学習内容を把握し、支援している」(44.0%)、「1.学習の段階から複数名でのグループ受講を奨励・支援している」(40.9%)でした。人事・人材開発部門や職場の上司による支援やグループでの学習促進など学習プロセスにおける支援の実施状況は、4割強と相対的に高い状況でした。これに対して、学習内容を定着・確認するための施策は、全体的に3割程度の実施状況でした。

     次に、各施策で実施ありと答えた方が、それぞれの施策についての効果性をどのように認識しているのかを確認します。この設問は4段階評価(1「効果が上がっていない」、2「あまり効果が上がっていない」、3「ある程度効果が上がっている」、4「効果が上がっている」)を用いています。データの見方として、1~4それぞれの回答割合を見るとともに、肯定的回答割合(3「やや当てはまる」と4「当てはまる」の合計)を見ていきます。

     回答状況については以下の通りです。

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     「4.学習した内容を業務の中で実践できる機会を設けている」、「3.学習した内容を職場内の勉強会等で発表する場を設けている」は、施策の実施状況は3割強でしたが、施策の効果性は肯定的回答割合が7割弱と相対的に高い結果でした。