清宮 普美代
株式会社ラーニングデザインセンター 代表取締役

 最近、ある組織で女性活躍推進策について相談を受けました。私の専門は組織や人材の開発ですが、こう考えることができます。ダイバシティ(多様性)マネジメントも、組織のなかに「多様性を受け入れる変容プログラムを導入する組織開発である」と。ただ、「女性」を受け入れることがイコール、ダイバシティ(多様性)を受け入れるということになるのかは異論があるところです。とはいえ今回は、組織として「女性」がダイバシティマネジメントの第一歩であるというご相談でした。

問題の本質は「ケア(支援)」と「フェア(公正)」にある

 相談の主旨、つまり問題意識は

「会社としては、女性に対して、働きやすい環境を整えるべく施策をうっているものの、うまくいっていると思えない。もっと積極的になってほしいのだが、『わたしはこのままでいい』と、上を目指す人材がでてこない」

というものでした。

 話をいろいろ聞いていると、いわゆる「ケア(支援)」と「フェア(公正)」の問題だと感じました。つまり、そのバランスがとれていないのです。ちょっといじわるに言い換えれば、

「頑張ってもらいたい人のために両立支援をしているはずが、そうでもない人たちの方が制度を積極的に活用していて、会社として負担が大きい。なんとかならないか」

という問題意識ともいえます。

 つまり、ケア(支援)だけに視点がいった施策を打ち、フェア(公正)に扱うシステムが働いていない、ということです。この場合のフェア(公正)というのは、全員を一律平等に扱う(=公平)というのではなく、それぞれの人に合わせた対応をすることを指します。表現にデリケートな問題を含みますが、この場合アンフェア(不公正)だと問題にされているのは、支援策を利用する人に対する期待と現実のギャップのようにも思えます。

 組織の問題は相互に絡み合い、関係し合いながら生じることが多いので、一概に特定層の意識の問題というだけではないかもしれません。しかし、どちらにしても意識・行動変容がおこる必要があるのは事実のようです。

 組織開発の視点でとらえると、

「変容への働きかけ(介入)として、わかりやすい「制度」などの人材マネジメント側面のケア(支援)はしている。ただし、組織のなかの文化や価値観、どのように業務をおこなうのか、どう働くべきかなどへの働きかけが不充分。そのため組織的規範の設定ができていない」

ということもできます。また、多くの場合、効果的なチームメンバーとしての意識醸成がない状況だと考えられます。