石田淳
株式会社ウィルPMインターナショナル 代表取締役社長兼最高経営責任者

 景気の回復が目に見える形で現れ始め、すでに飲食業界などではアルバイトの争奪戦が起こっています。新卒採用の現場でも売り手市場になりつつあり、中小企業は人材確保に頭を悩ませているようです。

 しかし、長い不況の時代に育った若者たちに、浮かれている様子はありません。足利銀行が毎年行っている新入社員の意識調査を見ると、彼らがいかに「安定」を求めているかがよくわかります。

出世は「課長、店長などリーダー職くらい」

 新入社員に就職の目的を問うと、「自分の成長」や「能力発揮」という回答が減り、「収入を得ること」がダントツで伸びています。そして、男性では6割強、女性でも4割弱が「定年まで働きたい」と答えています。つまり、多くの若者たちが、新卒で就職した会社で長く給料を受け取りたいと考えているわけです。

 これを読んで、あなたはどう感じるでしょうか?

 定年まで働きたいなら、それなりに出世していかなくてはならない。ということは、将来の出世を狙って、自発的に動く部下が増えるはずだと期待するかもしれません。ところが、そうでもないようなのです。

 同じアンケートで、「どのくらいまで出世したいか?」という設問に対して、圧倒的に多いのが「課長、店長などリーダー職くらい」という回答。男女ともに3割以上の新入社員がそう答えています。つまり、彼らは、いまのあなたの地位までいけば充分だと思っているのです。

 すでに課長職であるあなたからしてみたら、「それはないだろ?」と思うことでしょう。たしかに課長職はやりがいがあります。しかし、現場で売上を立て、部下育成までしなければならないプレイングマネジャーという激務をこなせるのも、「もっと上の立場になってさまざまなことを決定し、大きなビジネスをしたい」と思えるからではないでしょうか。「いまの立場のままでいいや」では、とうていモチベーションは保てないでしょう。

 そのあたり、若い人たちはわかっていないようです。