植田寿乃
キャリアコンサルタント/ダイバーシティコンサルタント

「君はいつまで、勤めたいのかい?」
「定年まで一生勤めたいです」
「子供はどうする。子供がかわいそうなのでは?」

 これは、今まさに就活中の、私の友人の大学4年生の娘が就活面接で男性人事部長と交わした会話だそうです。彼女が「母は今もバリバリ働いています」と答えると、そういう家庭(つまり離婚して母と娘の家庭)なのかと思われたそうです。「絶対に男性には聞かない質問をされた」と憤慨して帰ってきたという娘の話は、実は彼女の母である友人自身が、30年前に会社の面接で言われた言葉そのものでした。

 彼女は私も尊敬する素敵なビジネスウーマンです。しかし、30年前、昭和時代の入社面接で4年制の大学を出て、「定年まで働き続けたい」と答える女性はとても変わった存在に映ったのも事実です。女の幸せは結婚、寿退社、良妻賢母 ―― これこそ女性の目指す幸せという固定概念が、世の中の男性女性の大半を支配していました。昭和の人生観、家庭観です。

 しかし、今は時代が違います。今時、この昭和感覚のままで新入社員面接をしている人事部長がいることに驚きます。30年前と同じ質問を女性にしています。しかも、男性には絶対にしないであろう質問を女性だけにしているのであればセクハラ発言です。一人の男性人事部長の、本人の昭和時代の価値観、人生観での言動が、会社のダイバーシティにおける信用度を落としかねません。私はこういう人たちを、危険なダイバーシティ・ストッパーだと断言します。

社内結婚するから女性は採用しない?

「20代2名を中途採用しようとして面接していたんですがね。女性2人、男性2人の計4人。すごく優秀な人達が残って、甲乙つけがたい人材ばかりでした。で、いろいろ考えたんですが、やはり男性2名にしましたよ」
「えっ、なんで、男女1人ずつ採用しなかったんですか?」
「いや、やっぱり女性はね。昨年、とても優秀な20代の女性を中途採用したんですよ。すごく期待していたんですが、なんと1年も経たずに社内結婚することになりましてね。仕事しに来たんだか、結婚相手見つけに来たんだか、がっかりです。それに、結婚したら、もういつ妊娠するかもわかりませんしね。だから女性は、ちょっと懲り懲りですわ」

 これは、私と人材開発や研修を手がける会社の部長との会話です。私は、目の前の50代後半の男性に失望しました。この会社では、女性は育たないというよりも、働くチャンスすら与えられない…。この男性は決して悪い人ではありません。自分は社内結婚して、奥さんは専業主婦になって、まさに企業戦士として働き、妻が子育てをやり、幸せな家庭を守ってきたという自負からの昭和人生観のままに生きています。

「でも、話は変わりますが。今、娘が就職活動中で、私には何も相談しないんですよ。女房と何やらいろいろやっていますが、なかなか面接までたどり着かなくて、女性の就職はまだまだ大変ですな」

 まさに、この方には就職活動苦戦中の娘がいます。娘が、文頭の人事部長や自分のような面接官に会ったらどんな気持ちになるか考えたことがあるのでしょうか。昭和価値観にすがりついても、時代も周りも変わってきいたということを、体感し、気づいてほしいものです。