石田淳
株式会社ウィルPMインターナショナル 代表取締役社長兼最高経営責任者

 30代後半のT氏は、健康推進に関わる食品や器具を取り扱うD社に勤めて8年になります。営業専門職として他企業から転職し、折からの健康ブームに乗って順調に売上を伸ばしてきました。もっとも、その売上はT氏だけで立てたわけではありません。早くから複数の部下を持ち、自分の営業スキルを伝えながら育成してきたおかげで、チーム全体の業績がアップしていたのです。

 しかし、最近部下たちの仕事が以前のように上手く回っていないことに、T氏は悩んでいました。売上も頭打ちになってきて、部下たちの士気も弱くなっているようです。

7割近い課長がマネジメント活動を振り返る時間を確保できていない

 T氏には、思い当たる原因がありました。D社を取り巻く環境が、ここ3年ほどで激変しています。同業者の数が増え、パイの取り合いになっているだけでなく、D社内部の構造変化もあって、仕事の進め方が現実と合わなくなってきているのです。

 いま、T氏がやらなければならないことは、さまざまな検証と修正でした。そのためには、自らの仕事や部下育成についてじっくり振り返る時間が必要です。しかし、それが確保できないままずるずると日々を過ごしています。

 学校法人産業能率大学が、上場企業の課長を対象に行ったアンケートでは、マネジャーであると同時にプレイヤーとして活躍しなければならない課長職の重圧が浮き彫りになっています。

 「プレイヤーとして活動しなければならないことが、マネジメント活動の支障になっているか」という内容の質問に対し、「かなり支障がある」「少し支障がある」という回答合わせて、58.1%にのぼっています。そして、「支障を与える業務」として、「部下の育成・指導」「目標管理」などと並んで、「マネジメント活動の振り返りや見通し」というものが上位に挙がっています。

 「マネジメント活動を振り返る時間はとれているか」という点について、「十分とれている」と答えた課長は、わずか2.7%しかいません。逆に、「あまりとれていない」の57.2%と、「ほとんどとれていない」の10.3%を合わせると、なんと7割近い課長が自らのマネジメント活動を振り返る時間を満足に確保できていないということになります。

 これは、なんとしても解決しなければならない問題です。