石田淳
株式会社ウィルPMインターナショナル 代表取締役社長兼最高経営責任者

 4月に新入社員を迎えた職場では、いままさに現場でのOJTが盛んに行われていることでしょう。入社後まずは2週間程度の全体研修を、その後、配属先の各部署においてOJTを行う。こうして新人を育てるといった方法を多くの企業がとっています。

 社会人としての基本的マナーなどを中心に教える全体研修に関しては、たいていの新人が「だいたい想像していた通りのことを教えてもらった」と感じるようです。ところが、その後のOJTでは、「仕事をわかりやすく教えてもらっている」と納得する新人は激減します。全社的なマニュアルがつくりにくいOJTでは、部署のリーダーの「教える能力」によって著しく差がついてしまうからです。

 OJTが上手くいかないとき、「今年の新人は期待はずれだ」という評価がなされがちです。しかし、それはとんでもない間違いだということを、本連載を読んでくださっている課長ならわかるでしょう。

 あなたの職場では、どのようなOJTを行っているでしょうか?

順調に育った部下にOJTを任せたが…

 あなたが直接、新人の指導をしているなら、これまで学んできた行動科学マネジメントのメソッドを上手に活用していくことが重要になります。

 すなわち、新人のなすべき仕事を細かく行動分解し、曖昧な表現は用いず確実に伝わる言葉で指示を出し、新人が望ましい行動をとったならすかさず褒めて強化する。このようなやり方をすれば、どのようなタイプの新人であっても正しく仕事を身につけていくはずです。新人から「仕事をきちんと教えてもらえない」などという不満が出ることはないでしょう。

 気をつけなければならないのは、あなたが育ててきた部下に新人のOJTを任せるといったケースです。

 ある金融系の中堅企業に勤めるA課長は、新人のOJTを部下のB君が中心となって行うように指示しました。B君は入社4年を経過し、A課長が信頼している部下の一人です。A課長自らが行動科学マネジメントメソッドを用いて育て、B君は期待通り着実に仕事を覚えていきました。だから、新人教育においても、B君なら間違いないと踏んだのです。