中村 文子
ダイナミックヒューマンキャピタル代表取締役

『研修プログラム開発の基本~トレーニングのデザインからデリバリーまで~』(ASTDグローバルベーシックシリーズ)
『研修プログラム開発の基本~トレーニングのデザインからデリバリーまで~』(ASTDグローバルベーシックシリーズ)
サウル・カーライナー 著 / 下山 博志 監修 / 堀田 恵美 訳 / ヒューマンバリュー / 3,024円(税込) / 268ページ

 先月紹介した「研修開発入門」(中原淳著、ダイヤモンド社)に続いて、研修開発に関する書籍が発行された。こちらは、ASTD(American Society for Training and Development)のグローバルベーシックシリーズの日本語訳の6冊目。

 グローバルベーシックの名にふさわしく、ヒューマン・パフォーマンス・インプルーブメント、アダルト・ラーニングの原則、ADDIEアプローチ、カークパトリックの4段階、と、トレーニングに関しては世界的に「一般用語」「常識」となっている概念や言葉が冒頭から多数登場する。研修・人材育成に関わる人はぜひおさえておきたい基本用語・概念ばかりだ。

 研修プログラムを開発するための参考書であるが、研修はそもそもパフォーマンスをインプルーブ(向上)させるための解決策の一つの選択肢にすぎず、研修を開発することありきで始めるのではない、とスタンスが明確なのが良い。本質的な要素として、(1)人間の行動の改善をもたらすことが必須、(2)求めるものと現実のパフォーマンスのギャップを解消するものであること、(3)ただし、トレーニングが解決策となりえない場合もある、している。だからこそ、研修を終えるところがゴールではなく、上記3つを満たさないのであれば、トレーニング(研修)以外の解決策を検討する必要がある。そして、カークパトリックの4段階の評価を第1章で取り上げ、成果を追跡することを最初からデザインするように促している。

 第2章以降は、企画、ニーズ分析、目標の設定、コンテンツの組み立て方、実際のスライドの作り方のコツや、運営のポイントや部屋の設定など、かなり具体的なことまで網羅されている。人材育成・研修担当者には常に参照できる位置に置いて活用してもらいたい一冊である。

関連図書

『パフォーマンス・コンサルティング~人材開発部門は研修提供から成果創造にシフトする~』
デイナ・ゲイン・ロビンソン、ジェームス・C・ロビンソン 著 / 鹿野 尚登 訳 / ヒューマンバリュー / 3,780円(税込) / 336ページ

『パフォーマンス・コンサルティングII~人事・人材開発担当の実践テキスト~』
デイナ・ゲイン・ロビンソン、ジェームス・C・ロビンソン 著 / 鹿野 尚登 訳 / ヒューマンバリュー / 3,564円(税込) / 320ページ