植田寿乃
キャリアコンサルタント/ダイバーシティコンサルタント

 ベンチャーと言われる会社で働いた27歳からの3年間、新規事業のバイリンガル・フリーペーパーの責任者を任されました。無我夢中で働いていたときで、たぶん睡眠時間は3~4時間。朝から晩まで「取材だ、編集だ、営業だ」と飛び回っていました。お給料は残業を想定しての定額なので、残業しようがしまいが金額が増えることはありません。でも当時は、給料よりも仕事の面白さにのめり込みました。終電どころか徹夜しても、それでも仕事をしているのが楽しかった。そして遊びも睡眠時間を削ってディスコに行く。仕事も遊びも限界まで思いっきりでした。

 そして30歳を機にANAグループに転職。新規で立ち上げたIT事業は、まさに時代の最先端にいる興奮で、私の人生を仕事一色で染めていきました。30代前半はまだまだ3~4時間の睡眠、徹夜も苦にならない体力がありました。そして当時、私と働いていた20代のSEやクリエイター達も、私以上に最先端のテクノロジーを追いかけることに夢中で、会社に何日も泊まりこんで夢中でプログラムを書いていました。

ダイバーシティ推進を振り返る時期に来ている

 たぶんこの状態は、今でいうところの「ブラック」となるのかもしれません。しかし、ベンチャーで働いていたときの私、そしてANAグループで働いていたときのメンバー達は、仕事が辛くてたまらなくて辞めたいと思っていたかというと、そうではありませんでした。20代30代、体力も気力も充実しているし、背負っているものもなにも無いからこそ、面白いと思った仕事にのめり込みました。

 この無我夢中で、自分の可能性を信じてせいいっぱいやるという体験は、決して無駄ではないと思います。ただし、そこで限界を超えて体や心を壊してしまったら、終わりです。ブラック企業と名指しされる会社の中には、従業員が過労死したり、裁判沙汰になったりと、確かに行き過ぎた状態もあるようです。

 そして最近、ブラック企業に対して、ホワイト企業というのがまたクローズアップされるようになりました。仕事も家庭も両立できる制度が充実していて働きやすい。つまり、誰もが働き続け易い会社が取り上げられています。子育てしながら女性が働き続けるは当たり前。育メンたちもたくさんいるといった紹介に、今の大学生たちの就職バイブルのようになるのかもしれません。