植田寿乃
キャリアコンサルタント/ダイバーシティコンサルタント

「私は20代、30代の女性たちの集まりには、意識的に関わらないようにしているんです。だって、参加したらいろいろ意見というか、説教したくなりますからね。言いたいことはたくさんありますよ。なんか仕事に対して甘いっていうか…。プライベートの充実とか、今のまま子供も産んで自分のキャリアも続けられるかが不安とか。だいたい仕事っていうものはそんなもんじゃないし。まあ、私の考えや意見など、本人たちもきっと聞きたくないでしょう。だいたい、昔っから、女性がこういうふうに群れて話したりするの嫌いなんですよね。自分に合わなくって。男性の中にいるほうが気が楽です」

 女性と組織の活性化研究会( http://newo.jp/ )に初参加の、かなり場違いな1990年代のバブル期を思わせるようなミニのスーツにワンレンの髪型、腕組みで上から目線で発言する40代半ばの女性。この女性の冒頭の発言に、グループディスカッションの場は凍りつきました。しかも、場を凍らせている自分の発言に彼女は全く気づいていないようです。自信ありげに言葉を続ける彼女をそのままにして、他のメンバーが何も言えない状態にすることは、ファシリテーターとしての私の勤めが果たせません。

強気な発言の裏側の気持ちとは

「ちょっと待ってください。なんでなんですか。どうして、20代、30代の女性たちと関わることにそんなに拒否反応があるのかな。では同じ40代の女性達とはよくお話をするのですか?」

「会社で同期とか、みんな辞めてしまいましたね。私よりも年上で働き続けている女性もほとんどいません。二人かな。これといった交流もしていません」

 強気な発言の裏側の気持ちが見えてきます。彼女はもはや会社の中で超古株です。社内を見回せば先輩も同期の女性もいない。いるのは自分とは10歳以上年齢が離れた20代、30代の女性ばかり。かなり寂しく孤独な状況です。

「そうか、同じような立場の女性がいないのですね。あなたは女性の友達や親友はいますか?」

「当たり前じゃないですか。いますよ。他の会社に勤めている人とか、学生時代の友人とか」

「会社の中ではどうですか?」

「…。会社にはいませんね。だいたい会社は友達を作る場所ではないと思っていますから」

 彼女の答えは、もはや最初の強気ではなく、悲しい叫び声のようでした。

「あなたは、まるで30代の私を見るようだわ。企業戦士ガンダム女になっているよ。男性に負けじと頑張っているのね。会社で信頼できる友達や仲間がいないなんて、寂しくない?辛くない?」

「そ、そうですか…。別に、私は平気ですけど…」

 彼女の声はもはや、聞こえないくらい小さくなり、目には涙が溜まっていました。グループディスカッションに参加していた女性たちは、哀れみの目で彼女を見ていました。その後、彼女が発言することはなく、他の参加者はいつものような優しい笑顔になって本音の活発な意見交換をしていました。彼女はじっと黙って、耳を傾けていまいた。彼女の心が開き、心に何か響いたり残ったりしたものがあったことを祈るばかりです。