安田 結子
ラッセル・レイノルズ・アソシエイツ・ジャパン・インク 日本支社代表

竹内:内製型の中興の祖が重視されるようになると、日本の10年次研修とか、20年次研修ではないタイプの研修プログラムが必要ですね。ただ日本企業の場合、潜在能力の高い人を選抜して選ぶことに抵抗があるように見えますが。

安田:そうですね。日本企業では、ある特定の人を選び、その人たちに特別な教育をするということについては、違和感がある企業が多いですね。

人を選抜するのを好まない日本企業

竹内:ある日本の企業のハーバード大のカスタマイズ・プログラムを3年間担当していました。人事の方が、「3年やってきて今後も続けたいのですが、1つの悩みは本当にこのプログラムに相応しい人たちを事業部長たちが推薦してくれるだろうか」とおっしゃっていました。来ている人たちは「すごいプログラムだ、目から鱗だ」と言っています。ただ、事業部長が優秀な人を出したがらず、その人が3カ月いなくなったら困ると言うのだそうです。また、誰かを選ぶということがとても苦手で、50人いる中から選ばれると評価されているみたいと感じ、選ぶことに抵抗があるとも。正直驚きました。

安田:選ぶ権限をもっているのに選ばないということですね。

竹内:そうです。悪しき平等主義がはびこっているのかもしれません。ハイポテンシャルな人に「行ってこい」という組織でないと、活性化しません。

安田:選ぶことを恐れる事業部長は、後継者を選ぶことを自分の任務と考えていないことがあります。後継者育成計画では、組織全体として自分の後継者を選び、育成し続けるプログラムが重要になります。そもそも選ばないということ自体、リーダーとしての任務を放棄しているようなものです。

ハーバード大学経営大学院教授
竹内 弘高(たけうち・ひろたか)

国際基督教大学卒業。カリフォルニア大学バークレー校経営大学院でMBA、Ph.Dを取得。1976年より1983年までハーバード大学経営大学院助教授、1983年より一橋大学商学部助教授、同教授。2000年に開校した一橋大学大学院国際企業戦略研究科の初代研究科長に就任。2010年よりハーバード大学経営大学院教授。野中郁次郎氏と書いた「The Knowledge-Creating Company」は1995年度の全米出版協会のベスト・ブック・オブ・ザ・イヤー賞(経営分野)を受賞。また、野中氏と書いた「The Wise Leader」が、米誌ハーバード・ビジネス・レビュー 2011年5月号にカバー論文として掲載。