リップシャッツ 信元 夏代
アスパイア・インテリジェンス社 代表取締役

 本シリーズは今回で最終回となります。アントレプレナーへの道のりに一歩踏み出したばかりの方にも、中盤に差し掛かり道に迷っている方にも、そしてひたすら突き進んでいる方にも、更には大企業に属しながらも自立型の起業家マインドを持って仕事をしていきたい方々も含め、筆者からすべての”アントレプレナー“へのメッセージを伝えます。

自分のブランド力

 このコラムの第一回目で、起業家の資質について次のような事を書きました。

「目標に向かってひたむきに行動する人の周辺には自然と支援者が集まってくるもの。人を惹き付ける『何か』が発せられているからだ。その結果、その人の周りには人が集まり、事業が立ち上がり、危機を乗り越え、成長していくのだ。成功する起業家には、その人ならではの、人を惹き付けてやまない『らしさ』がある」

 つまり、成功する起業家には、その人の「人となり」が大きく影響する、ということです。それは「ブランド」の考え方にも似ているのではないでしょうか。強いブランドは、独特かつ強烈な「らしさ」があり、顧客を魅了し、優秀な人材を惹きつけ、社会からも注目されます。さらに、強いブランドは新しい価値を生み出そうとしたり、社会のルールなどを大きく変革させようとしたり、常にチャレンジし、首尾一貫した信条を徹底的に貫いているのです。

 起業家として、いかに自分「らしさ」を磨き、挑戦していくか。強固な自分ブランド作りを心がけたいものです。

起業家七か条

 しかし、それだけでは当然、長期的な成功に導く事はできません。「人となり」をベースとして、それに、単なる足し算ではなく、「掛け算」的に成功を右肩上がりに導く資質も必要です。これまでのコラムの中で語ってきた資質を、「起業家七か条」として以下にまとめてみました。

其の一 頭の引き出しをたくさん持ち、迅速かつ柔軟な思考能力を鍛えること
其の二 常に前向きな姿勢と冷静な平常心を持ち、前進していく胆力を練ること
其の三 チャンスを見極め、捉える瞬発力と行動力を持つこと
其の四 失敗を他人のせいにせず、建設的な批判を受け入れる姿勢で臨むこと
其の五 謙虚に学ぶ姿勢を持ち、不断の勉強を怠らないこと
其の六 客観的かつ正しい自己評価を常に行うこと
其の七 社会に、人に、自分に、常にフェアであること

 経営者は、様々な事柄に対して常に前向きかつ柔軟に対応し、「視野の広がりと判断の深さ」に磨きをかけていかなければなりません。直面する課題は、ひとつとして同じものはないからです。新しい課題を前にするごとに、それに勇ましく挑み、クリエイティブに解を探っていくのです。そして、強靭な意志を持って所信を貫かなければならず、そのためには誠意と平和の心で臨むことです。

 その意味で経営者は、その判断に「深さ」と「広さ」を併せ持ち、「決定して、全責任を持つ」勇気と覚悟を備えた、代わりのいない最高責任者です。 しかし同時に、社員、部下、チームメートたちを鼓舞し、彼らのモチベーションや関与度を高め、能力を生かし個性を引き出しながら、チームワークを最大限に活用して組織全体の生産性を上げていく、という視点も忘れてはなりません。