リップシャッツ 信元 夏代
アスパイア・インテリジェンス社 代表取締役

 日本のことわざや熟語、中国の故事成語には、その言葉の意味を深く考えると、非常にビジネス、特にマーケティングにも通じていると思わされるものが沢山あります。

客観

 例えば、「客観」。

 「客観」とは、「他人や第三者が冷静に見ること」です。これをビジネスに置き換えて考えてみる次のようなことが言えます。

 なぜ儲かる会社と儲からない会社があるのか ―― 。儲からない会社は、儲からないことをしているから儲からないわけですよね。でも、誰だって儲からないことはしないほうがいい、ということは分かっているはず。ではなぜ儲からないことをするのでしょうか。それは、「客観」的に物事を判断せず、本人の主観で「本当は儲からないのに儲かる」と思い込んでしまっているからです。

 典型的な例では、「いい物を作れば必ず売れる」と思い込んでいるケースです。

 それはそうかもしれません。しかし問題は、「誰がいいと思うか」ということ。“ターゲッティング”ですね。相手のことを知らないのに、「オレが、自分達が、いいと思うから」…。あるいは「想いは必ず実現するんだ。想いが足りないからできないんだ。もっと気合入れてがんばって売れ!」と公言してしまう経営者を見受けることもあります。しかし、これは完全な主観に過ぎません。現状はどうなっているのか、事実は何か、誰が何を欲しているのか、という「客観」が重要なポイントなわけです。これは正にマーケティングの基本です。「想い」は、ターゲットと共有されてはじめて意味を成すものです。ターゲットが不明確なままにただ闇雲に「がんばって」も、「下手な鉄砲、数打ちゃ当たる」というような非効率なやり方にしか過ぎません。

 本シリーズの初回でも述べましたが、起業する際、まず立ち上げる事業が独りよがりなものではなく、社会から求められているものかどうか、が重要ポイントのひとつです。そしてその事業のアイデアが単なる自己満足に終わらないよう、確実にチャンスを掴み、実現させていかなければなりません。どのビジネス・アイデアが、自分の事業にとってのビジネス・チャンスであるかを見極めるには、まずは事業の目的とゴールの明確化が大前提です。その上で、「世間に空いている穴」(ターゲット)の存在を確認し、そのターゲット像と居場所、彼らの購買パターンなどを分析し、自身のビジネス・アイデアがその「穴」を埋めることができるものである、と確証するためのプロセスが重要なステップになるのです。常に「客観」的視野で自身の事業の全体像を見つめながら進んでいきましょう。