船見真鈴
マイカ ヒューマンラボ 代表取締役

 新入社員がそろそろ本格的に仕事を始める時期になりました。同時に、ちらほらとメンタル不調者が出てくる時期でもあります。御社の新入社員は大丈夫ですか?

 私は、企業でメンタルケアをしています。訪れる企業のほとんどで、メンタル不調者が増えているという声を聴きます。働き盛りの30~40代にメンタル不調は多いのですが、最近は20代の割合が増えてきている傾向があります。私自身もこのところ、若手のカウンセリングをする機会が増えています。そして、その中で浮かび上がってきたことがあります。それは、上司や同僚に気軽に相談できないがゆえにメンタル不調になっている人が多いということです。

 相談せずにひとりで悶々としてしまうと、迷路に迷い込んで状況をますます混乱させてしまいます。困ったときに相談することは、問題解決を早めるだけでなく、気持ちを軽くするためにも大事なことです。ところが、まだ仕事がわからないのだからどんどん相談すべきその層が、積極的に相談できなくなっているようなのです。

若手を育てるためには管理職のケアをしっかりすることが大切

 あるとき、入社2年目の社員がカウンセリングにやってきました。仕事が忙しく、ストレスをためこんで心身の調子を崩していると言うのです。よくよく話を聴くと、仕事をひとりで抱え込んでいる状態でした。上司はサポートしてくれないのかと尋ねると、「上司にはあんまり相談していないです」との答え。なぜなのか理由を聴いてみたところ、「いつも忙しそうなので、いつ声をかけたらいいのかわからないんです。それに、以前相談しに行ったときに『こんなこと聞くな』と怒られてしまって…。だから、相談しずらいんです」とのことでした。

 こういったケースは、決して珍しいことではありません。そもそも、彼らの指導をする管理職がプレイングマネージャー化しており、きめ細かく指導する余裕がないことが多く、それが前述のケースの一因になっているからです。中には、「僕は部下の面倒を見ません。そんな余裕は時間的にも精神的にもありません」ときっぱり言い放つ方もいるほどです。それほどまでに、上司自らが疲れているのです。だから、部下が相談してきてもいい加減に対応してしまったり、自分で考えろと突き放したりしてしまうわけです。

 ですから会社としては、若手をしっかり育てるためにも、管理職のケアをしっかりすることが大切です。仕事を抱え込まないこと、仕事を効率的に進めるコツをつかんでもらうこと、オンとオフをしっかり切り替えて好きなことを楽しむ時間を確保すること、自らも積極的に誰かに相談すること…。メンタルを健康に保ち、心に余裕を持つためには、こうした自分マネジメントの重要性を彼らに認識してもらい、実践してもらうことが欠かせません。