大島由起子
インフォテクノスコンサルティング株式会社 セールス・マーケティング事業本部長

 「グローバル化」に真剣に取り組む日本企業の人事部が急速に増えています。今日は自身が日本企業のアメリカ支社、日本国内でのグローバル人事で働いた経験があり、現在人事コンサルタントとして人事・組織のグローバル化のサポートをしているブライアン・シャーマン氏にお話を伺います。

想像以上に「年齢」に縛られていないか?

大島:最近は人事の方とお話をしていて「グローバル」の話が出ないことの方が少なくなっています。日本企業のグローバル化支援をしているブライアンさんからみて、日本企業が抱えている課題をどんな風に見ていますか?

ブライアン:これはよく言われていることですが、日本ではまだまだ「就職」ではなく「就社」の意識が強いと思います。20年、30年辞めずに働くことを前提に考えれば、社員は社内で評価されることをしようとします。本来、会社は「箱」であって、自分のやりたいことはどの箱で実現できるのかと考え決めていけばいいのです。ところが、「就社」の発想になると、「箱」は既に決まっていて、その中でどうがんばろうかと考えることになります。この違いは大きいですね。

 人事の方も、その「箱」の中で考えることに慣れている。ですから、グローバル化という視点からすると合理的ではないことが起こるのです。

大島:例えば、どんなことが?

ブライアン:年齢に対するこだわりでしょうか。「階層」という考え方が根強く、それによって競争力を失っているのではないかと感じます。

 「グローバル」のテーマで研修を行うと、30代後半とか40代という人材を送ってこられるケースが珍しくありません。しかし、本当にグローバルで戦っていくためには、そこがスタートでは遅いと思います。例えば、日本本社の企業で世界横断の研修を実施すると、海外からは30代前半から半ばにかけての優秀な人材が送られてきます。それなのに、本社で働く日本の同年代の社員はそうした重要な研修に参加させてもらっていません。

大島:まだ年齢が上の人がそうした研修に参加していないため、まずは彼らに出てもらってから、といった順番意識があるのかもしれませんね。

ブライアン:そう感じますね。ただ、だからといって、逆に若ければいいというものでもありません。グローバル化が大事だから、若いうちに少し刺激を与えようと、新入社員全員に本格的なグローバル研修を行う企業もあるようです。しかし、各人が現場に入ったときにも刺激が続くような環境を用意しなければ、結局一時的に盛り上がって後が続かないということになります。年齢群という枠に縛られずに、将来に向けて一番適切な人材を選んで育成していくことが重要だと思います。

グラマシーエンゲージメントグループ株式会社 代表取締役
Bryan Sherman(ブライアン・シャーマン)氏
米国ニューヨーク市人事コンサルティング会社にて日系企業(NY・LA)を対象に人事コンサルタントとして従事。その後米国住商情報システムにて人事総務部長に就任。在米日系企業が抱える人事の現場を内と外の視点で支える。来日後は株式会社ファーストリテイリングでのグローバル人事業務に参画。欧米露アジア拠点の人事マネジメント業務に従事。現在は、日本企業の人事のグローバル化をサポートするコンサルタントとして活躍中。グローバル人事を英語で学ぶという、ユニークな「英語de人事®」といった研修が好評を博している。

米国 ニューヨーク州出身。米国 Williams College 卒業。 Senior Professional Human Resources (SPHR), Society of Human Resource Management,早稲田大学トランスナショナルHRM研究所 招聘研究員