吉岡太郎
株式会社エイチ・アール・ディー研究所 取締役

 11月9日に、日経ビジネスセミナー「人材開発のプロ養成講座2012年秋」を開催いたしました。80名近くの方にご参加をいただき、具体的な事例に多くの方が熱心にメモを取っていらっしゃいました。アンケートでは

「来年度の新人研修を考えるために、参考になった」
「今まで自分たちがやってきたことを反省した」

などのご意見をいただきました。

 ヒューマンキャピタル Onlineでは、直前インタビューとして事例の一部をご紹介しておりましたが、続きとなる後半のインタビューをお届けします。今回は、富士通ソーシアルサイエンスラボラトリの高橋浩也氏に、“教えない”新人研修についてお伺いしました。IT業界での革新的な取り組みについてです。こちらの記事の続きとなります。

現実に立ち向かえる若手に育てたい

吉岡:ここまで聞かせていただいて、本当に「今どきの新人/若手」の傾向や心理的側面をよく分析していらっしゃるという印象を受けました。それでは、その分析をもとに、どんな取り組みで育成を計画し、進めていったかを教えていただけますか?

高橋:まず、大きく分けて、入社前半年間の内定者期間の取り組みと、入社後3カ月間の新入社員研修期間があります。内定者期間では、社会人基礎力・行動力を伸ばすテーマと、IT知識・スキルを高めるテーマに取り組ませました。そして新入社員研修は、4月は社会人としての仕事の進め方やチームワークをテーマにしました。5月は基礎情報処理技術をベースにしてJAVA、サーブレットなどより実践的なプログラミング技術を身につけてもらい、6月は取り組みの集大成として、チームでプロジェクトを組みシステム開発を行うという構成です。

吉岡:意外に普通な印象を受けますが?

高橋:そうですね。知識・スキルという点ではやはり、配属後に求められるものはIT業界共通のものになるので、それほど特徴があるとは言えないと思います。「ここまではできてほしい」という現場からの要望は、どこのIT関連企業も変わらないのではないのでしょうか。むしろ、私たちがチャレンジしたのは、その取り組み姿勢です。先ほどお話ししましたが、そういったものを“教えられて”習得するのではダメなのです。これはモチベーションの問題でもありますが、実際に配属後の彼ら、彼女らの環境を鑑みても、本当にそうなのです。もちろん、配属先へのアプローチという問題解決の方法もあるのでしょうけれど、そこに切り込むためには、全体で取り組むと大きな話になってしまう。ですから、実際に効果を生み出すということを考えて、まずはその現実に立ち向かえる若手に育てたいと思ったわけです。

吉岡:現実的な解を選択したわけですね。