吉岡太郎
株式会社エイチ・アール・ディー研究所 取締役

 日経ビジネスセミナー「人材開発のプロ養成講座2012年秋」のテーマは、“ゆとり教育世代”のグローバル人材育成と題し、「21世紀型スキル」「自ら考え、行動する」「“教えない”研修」などのキーワードで読み解く新人/若手育成の新潮流を取り上げます。それに先立ち、講座内でご紹介する事例の一部をご紹介していきます。

 第3回は、「企業内教育における『21世紀型スキルを持ったグローバル人材の育成』」にご登壇いただくシスコシステムズ合同会社の櫻井豊氏に、21世紀スキルと新人研修についてお伺いしました。アメリカ、日本と世界を通じて新人を育成するという取り組みについてご紹介します。

世界最大級の通信機器メーカーに成長

吉岡:まずはシスコシステムズという会社のご紹介からお願いします。

櫻井:日本でシスコを紹介する時には、「日本のインターネットをその黎明期から支えている会社」と説明しています。

吉岡:もう少しだけかみ砕いていただくと…。

櫻井:そうですね。電話網との比較をすると分かりやすいかもしれません。電話は発信する電話機が、受信する相手の電話機まで「どのように線がつながっているか」を知っているわけではありませんよね。昭和初期の映画などのシーンで「交換台」が出てくることがありますが、あれは電話をかける側が交換台の人に「〇〇さんまで(あるいは〇〇という番号まで)つないでほしい」と頼むと、その交換台の人が、その目的の相手に音声という情報が通る「線をつないで」話をできるようにしていました。今だって途中に「交換機」があって、その部分は機械でやっているわけですが、インターネットもある意味では似たような仕組みを持っているのです。

 みなさんが、〇〇という会社のホームページを見たいという時に、みなさんのパソコンは〇〇という会社のホームページの実態が置いてあるコンピュータまで、有線/無線問わず、情報の通り道をたどっていかなければいけない。でも、みなさんの手元のパソコンはその通り道を知っているわけではないんです。途中で機械(交換機)が橋渡しをしている。その、いわばインターネット用の交換機を開発し、製造し、販売している企業ということになります。

 現在では通信事業者様が設置されるような大規模交換機から、企業や大学、さらには中小企業や小中学校などのLANで使用される中小規模のものまで、商品ラインナップが充実しています。また、無線LAN装置やビデオ会議装置、IP電話機などといった、ネットワークの上で動作する装置やソフトウェアに至るまで手掛けており、まさに世界最大級の通信機器メーカーといえるまでに成長しています。(注:日本国内には工場はない)

吉岡:シスコの機械の中に妖精がいて「〇〇って会社のホームページはこっちだよ」みたいに道案内をしてくれてるみたいなイメージですか?

櫻井:まあ、大雑把なイメージではそう遠くないでしょう。実は、その通り道は一発で目的のところに行けるわけではないので、実際の情報はその例えで言うと、何人もの妖精にリレー式で道案内してもらっているんです。それを「TCP/IP」という全世界共通のコトバで、瞬時のうちに、リクエストがあれば、地球の裏側まで案内している、ということになります。

シスコシステムズ合同会社
櫻井 豊(さくらい・ゆたか)氏
政策・CSR推進部 政策担当シニアマネージャ
1982年早稲田大学理工学部応用物理学科卒。古河電気工業株式会社入社。1993年日本シスコシテムズ株式会社(現在のシスコシステムズ合同会社)に入社、2006年8月よりCisco社がグローバルに展開する新卒教育プロジェクトに携わり,日本チームの責任者も務めた。2010年4月より、政策担当として文部科学省や総務省と協力しながら、日本における学校教育の情報化、ICTを最大限活用した21世紀にふさわしい学校づくりを目指した活動を開始した。著書に「マルチメディア・ネットワークの設計」(日経BP社)がある。