吉岡太郎
株式会社エイチ・アール・ディー研究所 取締役

 日経ビジネスセミナー「人材開発のプロ養成講座2012年秋」のテーマは、“ゆとり教育世代”のグローバル人材育成と題し、「21世紀型スキル」「自ら考え、行動する」「“教えない”研修」などのキーワードで読み解く新人/若手育成の新潮流を取り上げます。それに先立ち、講座内でご紹介する事例の一部をご紹介していきます。

 第2回は、「“教えない”新人導入研修 ― ゆとり教育世代をどう方向付けるか ― 」にご登壇いただくインテージの乾奈央氏(写真左)と井上菜穂美氏(写真右)に、“教えない”新人研修についてお伺いしました。新人研修中に、実際の業務プロジェクトを任せてしまう革新的な取り組みについてご紹介します。

目指せ「半年で一人前」

吉岡:まずはインテージという会社のご紹介からお願いします。

乾:当社は1960年に創業し、マーケティングリサーチのパイオニアとして、リサーチ基盤とシステム技術力を背景に、成長を続けている会社です。マーケティングリサーチのノウハウ、データを分析する技術、それらをシステム化する技術を駆使し、クライアント企業のビジネスやマーケティング上の課題を解決したり、意思決定を支援しています。

吉岡:最近の会社の戦略やビジネスの方向性について教えてください。

乾:かつては、リサーチ会社として、消費者・生活者からのデータを正しく収集し、クライアントのリクエストにお応えしたかたちで情報をお届けすること自体に価値がありました。しかし、近年はインターネットの普及に伴い、個人でも情報発信や収集が可能になってきました。このため、様々なあふれる情報を見極め、その価値を見出し、ビジネス上の意思決定支援につなげていくということが必要になってきています。

 また、日本企業の海外進出の拡大に伴い、グローバル展開も加速しています。さらに、インターネット、モバイルなど新たな技術に対応し、それを活用した新たなビジネスモデルを創出する柔軟性とスピードも求められてきています。

吉岡:新しい領域へのチャレンジが増えてきているのですね。

乾:はい。それに伴って、社員一人ひとりのアウトプットの価値も以前より高いものが求められるようになってきていると感じます。現場もより忙しくなりましたね。

吉岡:配属後の新人への期待も高まっていますか?

乾:そうですね。いち早く一人前の即戦力として活躍してほしいというのが、現場からの期待です。

吉岡:即戦力と言うと、まず、どんな仕事のレベルが期待されているのでしょうか?

井上:人財開発グループでは、1年間を新入社員のフォローアップ期間としています。そして毎月、自身の成長の記録として「マンスリーレポート」をグループウェア内で書かせています。その内容を見ていると、クライアント対応(メイン担当として)、あるいは派遣社員に指示を出し、うまく活用しながら業務を進めるなどが、現場から新人に期待されている仕事レベルのように見受けられます。現場の立場からは、小さな単位でもまるまる仕事を任せたいというのが本音でしょうね。新人の中には「ついていけるだろうか、大丈夫だろうか」という不安を抱く者もありますが。

株式会社インテージ
乾 奈央(いぬい・なお)氏
人事企画部 人財開発グループ マネージャー
大阪教育大学教育学部を卒業後、1998年株式会社実鷹企画(現:株式会社学情)に入社。企業の採用支援企画・運営に従事しながら、自社の採用活動や、株式公開の実務などを担当。2004年にインテージに入社し、主に若手社員向けの研修や新卒採用の企画・運営に携わる。2008年より現職で、グループメンバーとともに、グローバルも含めた多様な人財の確保、ならびに自立したプロ人財の育成に取り組んでいる。