入江倫成
株式会社エイチ・アール・ディー研究所 取締役

 この連載は2011年10月28日に実施した「人材開発のプロ養成講座」の内容を「登壇者への振り返りインタビュー」という形式でお伝えいたします。当日ご参加された方は「プレゼン内容の振り返り」に、業務都合で出席が難しかった方へは「当日のプレゼン内容の概要把握」を目的としてお読み頂ければと思います。

 最終回の今回は、「何のためのHRD?何のための効果測定?CPLPから本当の意味でのHPIを考える」をテーマにプレゼンをして頂きました、ASTD Global Network Japan会長の中原孝子様にお話をお伺いいたします。

研修という手段・方法のみの視点から脱却すべき

入江:プレゼンテーションのタイトルには中原さんとしてどんな意図を込めていらっしゃったのですか?

中原:企業が人材開発施策に投資する目的は、ビジネスニーズに従って対象者のパフォーマンスを向上させることにあります。そこには明確なアウトカム(=人材開発投資)に対して得たい「結果」が存在するはずです。しかし現状は、研修という手段や方法を実施することが目的のようになってしまっています。例えば、今、どの企業でもビジネスのグローバル化は喫緊の課題ですよね。そのために何をするかというと、「グローバルリーダー研修を実施したい」というロジックになってしまっている人材開発部が多いと思います。でもその前に人材開発部門は、その会社なりのグローバルビジネスの定義とその環境下でのその会社に求められるグローバルリーダーのパフォーマンスを把握しておかなければなりません。現実は「研修を実施する」という範囲でモノを見てしまっているケースが多いと思います。

入江:手段とか方法に偏りがちになるのは何が原因だと思いますか?

中原:企業における人材開発部のポジショニングの問題が一番大きいのではないでしょうか。企業内の一部門を構成しているので人材開発の側面からビジネスに貢献すべきだと思いますが、実際は研修の運営業務が中心になってしまっています。人材開発部門で働いている個々の皆さんはとても優秀なので、これはもったいないことです。日本以外に目を向けますと、欧米や他のアジア諸国のグローバルカンパニーでは、人材開発部門はビジネスを社員のパフォーマンス向上という側面から支援するコンサルティング部門となっています。ですから、メンバーは皆、高い専門的能力を身に付けたプロフェッショナルです。このプレゼンテーションは、日本企業の人材開発部門のプロフェッショナル化に少しでも貢献できればと思い実施しました。

入江:では当日のプレゼンを振り返りながら、その辺りの事をお聞きしていきたいと思います。

ASTD Global Network Japan
中原孝子(なかはら・こうこ)
会長
国立岩手大学卒業後、米コーネル大学大学院を経て、外資系製造販売会社、金融機関、IT企業にて人材戦略部門のマネージャーを歴任する。ASTDインターナショナルジャパンでは会長として活躍し、2008年からはアメリカで毎年行われるASTDのカンファレンスでスピーカーも務めている。2002 年5月に株式会社インストラクショナル デザインを設立し、効果的な研修設計と効果測定、パフォーマンスコンサルティング手法による人材開発設計、タレントマネジメントの運営支援なども行っている。