大坪 隆志
オイコス メンター

 前回は、CNPの4つのフェーズの内の前半である「理解」「協働」を解説した。今回は、「創出」「合意」という後半フェーズと交渉力アップの方法について述べていく。

 CNPのフェーズは、そのフェーズ毎に交渉が持たれることもあれば、1回の交渉の中ですべてのフェーズが行われることもある。どのような形で行われたとしても、フェーズを意識していくことが大切である。ウォーターフォール型の開発と同様、きちっとフェーズを踏んでいく方が、結果として手戻りのない効率のよい交渉につながっていく。

提案を通じて相手を巻き込む

 創出フェーズは、これまで得られた相手の情報やお互いに認識した共通のゴール設定から、具体的な解決策を提示していくフェーズである。この時点で注意すべき点は2つある。ひとつは、相手のメリットを中心として提案を考えること。2つめはその提案という手段から相手を巻き込んでいくことである。

 一つめの相手のメリットを中心として提案を考えることは、それによりこちらが味方や仲間であることを印象づけることができる。ちなみに、案そのものが相手のメリット中心に考えられていることと、相手へのメリットを伝えることは、全く別のことであるので注意してほしい。案の中身はこちら都合の案なのだが相手にメリットがあるように伝える、ということが行われることも多い。しかし、そうなると、どうしてもそこに矛盾が生じてしまう。案を相手に提示するときは、相手のメリットを伝えるとともに、そのデメリットも正直に伝えることが大切である。包み隠さず話すということが、相手の心を開き、相手をより巻き込みやすくしていく。

 提案すると、当然ながら質問、突っ込み、反論などが入り、いろいろなやりとりがなされる。そのときにあなたが意識して行うことは、提案を通すためにあれこれやりとりすることではなく、相手の考えや相手のアイデアを引き出し、そして解決に向けて相手を巻き込んでいくこと。これが2つめの相手を巻き込むということである。

 たとえば、提案をしていろいろ質問された場合に、説明よりも“ではどうなると良いのか”と相手に質問し、相手の知恵を引き出す。そして必要であれば、相手から出た意見やアイデアを新たな解決策案として検討の場に乗せていく。自分の考えが盛り込まれた案を自身で否定をしたくはない、という人間の心理を活用するのである。
 
 そして、案のメリットとデメリットを比較検討しながら、絞り込んで最終的な合意に向かっていく。