大坪 隆志
オイコス メンター

 前回は、交渉の原理原則と交渉の型を覚えることについて触れた。現実社会において交渉は重要なスキルなのであり、実践で鍛える部分が大半である。そういう意味では筆者も含め、ほとんどの人は自己流と言える。ただ自己流は、特定の相手や状況で鍛えられるため、それらが変わったときに上手く対応できなくなるリスクもある。だからこそ、ベースになる型を押さえておく必要があるのだ。

 CNP(Collaborative Negotiation Process )協創的交渉プロセスでは、交渉を4つのフェーズに分け、進め方を型として紹介している。4つのフェーズとは、「理解」「協働」「創出」「合意」である。自分が交渉の中でやっていることを、この4つのフェーズに当てはめてながら、読み進めてほしい。今回は、「理解」と「協働」について解説する。

まずは相手との違いを確認する

 理解フェーズとは、交渉の最初のセットアップから交渉の本題を切り出し、お互いの違いを認識するフェーズである。このフェーズで意識すべきことは3つある。

 ひとつは交渉を始める前のセットアップ。交渉はテーブルに着いて話をする前からすでに始まっている。どこで行うのか、誰が出るのか、どういう資料が必要なのかといったことから、相手に自分をどう印象づけたいか、どういう雰囲気で進めたいのかなどを考えておく必要がある。実はこうしたセットアップは、思っている以上に交渉に影響を及ぼす。WIN-WINの交渉をしようとするならば、お互いに安心して本音で話せる環境づくりを心がける必要がある。

 できれば、最初の時点で交渉の目的(この話し合いのゴールイメージ)、時間、進め方などを軽く相手と合意しておくとよい。通常、交渉は立場が強い方が話の主導権を握りがちなため、相手の都合の良いように話を進められてしまうリスクがある。最初に相手と合意し予防線を張っておくことも必要なのである。

 2つめは、本題を切り出し、要求を最初に相手に伝えること。ありがちな例として、心理的に言い出しにくい要求を、最後に言うはめになってしまうことがある。原因は、理由や経緯の説明に多くの時間を割いてしまう傾向にあるからだ。しかし思い出してほしい。大切なのは、何を要求したいのかを明確に相手に伝えることであるということを。