松丘啓司
エム・アイ・アソシエイツ(株) 代表取締役社長

 今回が連載の最終回です。これまでに、自分の価値観を表現することによって情報価値が高められることや、相手の価値観を理解することによって「気づき」が起こることを述べました。今回は、異なる価値観の「調和」が創造的な変化を生み出す、という点について解説したいと思います。

 まずは、ある会議の場面を見てみましょう。会議を仕切っているのは、このチームのリーダーAさんです。Aさんは、どんな些細なことでも、チームメンバーで語りつくすことを大切にする価値観を持っています。互いの理解が不十分なことによって、後になって不満や問題が生じるのは、Aさんにとっては最悪なことです。そのため、Aさんのチーム会議はいつも長引いてしまいます。

お互いの性格は理解しているのだが …

 その日も、終業時間を既に1時間も過ぎているにもかかわらず、会議は続いています。あるメンバーの抱えている仕事の悩みについて、事細かく話し合っているのです。そのうち、別のメンバーのBさんが、会話に割り込んで発言しました。

「ダラダラと、話すのは止めましょう」

 Bさんは、効率性を重んじる価値観を持っています。限られた時間を有効に使うために、計画的に仕事を行う人です。そのため、いつ終わるか決まっていないような会議に付き合わされるのは、苦痛以外の何物でもありません。

 Aさんも、Bさんの性格は理解しています。けれどもAさんにとって、話し合いが不完全な状態で終わってしまうのは許しがたいことです。そこでBさんに対して反論します。

「合理性ばかり主張しないで、よく話し合おう」

 2人の主張は対立して、噛み合いそうにありません。