渕野康一
東洋学園大学 現代経営学部 客員教授

 今回は、人生も仕事も面白くする「面白主義」を実践する「面白まじめリーダー」の第3の行動特性である「かんかん」(感じて考える)の意義と実践について解説します。「感じる力」を重視するこの「かんかん」力は、前回までの「面白まじめ」と「あたきび」を実践するベースとなる基本能力でもあります。

「かんかん」とは?

(1)感じる力と考える力

 人間には感じる力と考える力の両方が備わっています。赤ちゃんは生まれたときから感じる力が備わっています。大人になるに従って、いろんな学習を通じて考える力を獲得していきます。しかし大人になっても、本来は感じる力はなくなりません。両者が絶妙なバランスをとりながら合わさって、人ははじめて深い思考ができます。

 ところが、大人になる過程で考える力ばかり訓練して強くなりすぎてしまい、本来持っているはずの感じる力(感受性)を見失っていく人も少なくありません。その結果、アンバランスな偏狭な思考になりやすいのです。これは間違った知識偏重の教育の結果か、もしくは論理偏重の合理社会のなせる業かもしれません。

(2)感じる力と考える力のバランス

 大人になっても感(かん)じる力と考(かんが)える力の両者をバランスよく保有する人は、よく感じ取りよく考えられる人です。これを私は「かんかん」人間と呼んでいます。一方、この感じる力と考える力のバランスが崩れていると、さまざまな支障、障害が出てきます。

 例えば、感じる力があっても考える力がないと、感じたままにすぐ行動してしまう衝動人間、「気分屋」になってしまいます。感じるけれど考える頭が空っぽなので「かんカラ」とも呼んでいます。反対に、考える力があっても感じる力がないと、ガチガチ頭で融通の利かない冷徹な「頭でっかち」人間になってしまいます。これは感じる頭が空っぽなので「カラかん」です。   
 感じる力も考える力もないと、これはもう最悪の「思考停止」人間になってしまいます。これは頭がすべて空っぽなので「カラカラ」と呼んでいます。

 「日本人は思考停止している?」と、たまに耳にします。もしそうだとしたら、「思考停止」は「感覚マヒ、不感症」、つまり感じる力の低下から来ていると私は思います。五感で感じたり、イメージする力が弱まると、深く考えることすらできなくなってしまうのです。