リップシャッツ 信元 夏代
アスパイア・インテリジェンス社 代表取締役

 前回のコラムでは、企業の国際化、およびグローバル企業に必要な組織作りについてお話した。今回は「人」に焦点を当て、グローバルリーダー像について考えてみたい。皆さんの企業では、「グローバルリーダー」に求める人材像が明確に描けているだろうか。

グローバルリーダー像の定義と育成

 グローバルなタレントマネジメントで軸となるのが、「グローバルリーダー像」だ。これが明確でなければ、採用も育成も登用も行き当たりばったりになってしまう。「グローバルリーダーに求める人材像」は、自社のコアコンピテンスや事業環境などを踏まえ、各社がそれぞれ定義すべきものである。しかし、そもそも「リーダー」と「グローバルリーダー」には異なる資質が求められるものであるのだが、その違いが皆さんの企業では明示されているだろうか?

 前者の「リーダー」とは、「日本企業内というコンテキストなら活躍できるリーダー」と定義してみたい。では「グローバルリーダー」とはどのように定義できるだろうか。それは企業のグローバル化の段階によっても若干定義が異なってくる。

 たとえば、第2・第3段階のグローバル化状況(前回のコラム参照:http://www.nikkeibp.co.jp/article/hco/20110513/269866/)にある組織では、グローバルリーダーとは「海外現地法人の幹部」を想定することになろう。したがって、第2段階におけるグローバルリーダー育成とは、すなわち海外赴任者教育と言いかえることもできる。海外赴任者は、現地の事情に詳しくなることに加え、現地法人が組織として小さい分、より幅広い分野での関与が必要となり、いわゆるゼネラルマネジメント(経営管理一般)能力が求められる。しかし現実を見ると、ゼネラルマネジメントとしての十分な知識やスキルを身につけないままに現地に赴かされ、現地でのマネジメントに悩むケースもよく目にする。

 現地化が進むグローバル化第3段階の組織では、海外の基幹人材の育成に力が入ってくる。彼らを日本に招いてマネジメント研修を行ったり、国内の製造技術やプロセスを体験学習してもらうための短期赴任を行ったりといった施策がとられる。ただ、「折角、教育したのに、辞めてしまった」とショックを受けるケースがあるのがこの段階での大きな問題のひとつ。前回のコラムでも触れたような、抜本的な制度や体質の改革を伴わない限りは、海外人材の歩留まりについてはある程度覚悟しておくしかないだろう。