リップシャッツ 信元 夏代
アスパイア・インテリジェンス社 代表取締役

 主要日本企業を対象にした国際協力銀行の調査によれば、日本の大手メーカーの売上の43.6%は海外である。産業別に比べると、自動車産業で61%、精密機器分野で57.1%、電気・電化製品産業では48.4%となっている。さらに、回答企業のうち625社が、製造または販売を1万2000に及ぶ海外子会社との提携で行っているという。

 製造業・非製造業にかかわらず、日本企業にとって、組織の国際化が将来の成長の鍵であること、そしてグローバル化という課題について全社的に取り組むべき時が来ていることは間違いないだろう。企業のグローバル化には、資本・市場・流通・商品開発など様々な分野があるが、筆者がこのコラムで取り上げるのは「組織と人」だ。日本企業はモノづくりの強みをテコに、販売と製造のグローバル化を成し遂げてきた。しかし、今後は「人材と組織のグローバル化」が重要課題として急浮上してくるはずであるからだ。

企業の国際化と異文化状況

 企業はグローバル化の段階に応じて、様々な異文化状況に直面する。この分野の権威であるナンシー・アドラー(Nancy Adler)は、企業の国際化の段階・国際戦略を4つに分け、次のように論じている。

 まず「国内のみで活動してきた企業」が第1段階。やがて、海外展開の第一歩として、輸出や海外生産を行うようになったとき、文化的な多様性は外部との関係、つまりは海外の顧客や労働者との関係において発生する。アドラーは、このような状況を「第2段階の国際企業」と呼んでいる。この時、異文化に対処する人たちは、海外部門に属する人たちや赴任者となるため、主にこれらの人々が文化的な感受性訓練を受けたり、異文化経営能力の開発を求められたりする。

 さらに国際化が進むと、「海外拠点の現地化」が進み、現地の経営は現地の社員に任されるようになる。「第3段階の多国籍企業」とよばれるこの段階では、「現地社員にもっと会社としての方向性や企業文化なるものを知ってもらおう」、あるいは「優秀な現地社員はさらにハイレベルで登用していこう」という動きが高まってくる。そして、本社に海外の基幹人材を招いてマネジメント研修をしたり、国内の製造技術やプロセスを体験学習してもらうための短期赴任などが行われるようになる段階でもある。

 現在、日本企業のほとんどは、第2段階か、よくて第3段階に留まっている。一方、他国の企業の多くは次の第4段階にまで進んでいる。