大島由起子
インフォテクノスコンサルティング株式会社 セールス・マーケティング事業本部長

 今回も前回に引き続き、日本企業の人事のグローバル化をサポートするコンサルタントとして活躍中のブライアン・シャーマン氏にお話を伺いました。ブライアン氏は、2007年から2010年にかけて、株式会社ファーストリテイリング(以下FR社)のグローバル人事業務に携わり、各国の人材・組織データの集積の責任者を務めた経験もお持ちです。

伝えようとする意思と努力が重要

大島:前回は、グローバルでの人材データベースを構築するにあたって、何を管理するのか、どう管理するのかだけでなく、それ以前のコミュニケーションが大変重要であるというお話になりました。そこで今回は、グローバル・コミュニケーションについて教えていただきたいと思います。

 私たちがグローバル・コミュニケーションの向上と考えるとき、まず「語学力向上」ということが頭に浮かんできます。実際に、「公的な英語検定の点数が一定以上でなければ管理職になれない」「従業員全員が一定以上の点を取るように促す」といったニュースが新聞などで取り上げられています。ただ、私自身が海外に留学したときのことを考えると、語学力だけに力点が置かれるのは危険なのではないかと思っています。

 例えば、ある語学学校で友達ができず、「英語ができないと相手にしてもらえない」と落ち込み、英語嫌いになって日本に戻ってしまった学生を見た経験があります。傍からみていると、英語ができるできない以前に、「積極的にコミュニケーションを図ろうとしていないことが問題なのでは?」と思いました。同じ言葉を話していても、話していてつまらない人とは話したくないし、言葉が多少通じなくても興味深い人とはどうにか話したいと努力すると思うからです。

 そのあたり、ブライアンさんはどのようにお考えですか?

ブライアン氏:私が企業で研修を行うとき、「日本語のまったくわからないブライアンさん」になりきることがあります(注:ブライアンさんの日本語はハイレベルです)。日本語がわからない人に英語で自分の意見などを伝えなくてはならない、というシュチュエーションを実際に経験していただくためです。英語力に自信がないと、最初はうまく通じずに途方に暮れます。しかし、そのうちにホワイトボードに図を描いたり、身振り手振りを使って何とか私に理解させようという努力を始めるのです。語学力が高ければ高いに越したことはありませんが、このように、まず伝えようとする意思と努力というのも非常に重要だと思います。

グラマシーエンゲージメントグループ株式会社 代表取締役
Bryan Sherman(ブライアン・シャーマン)氏

米国ニューヨーク市人事コンサルティング会社にて日系企業(NY・LA)を対象に人事コンサルタントとして従事。その後米国住商情報システムにて人事総務部長に就任。在米日系企業が抱える人事の現場を内と外の視点で支える。来日後は株式会社ファーストリテイリングでのグローバル人事業務に参画。欧米露アジア拠点の人事マネジメント業務に従事。現在は、日本企業の人事のグローバル化をサポートするコンサルタントとして活躍中。グローバル人事を英語で学ぶという、ユニークな「英語de人事TM www.eigodejinji.com」といった研修が好評を博している。



米国 ニューヨーク州出身。米国 Williams College 卒業 Senior Professional Human Resources (SPHR), Society of Human Resource Management, 産官学連携トランスナショナルHRM研究会 会員