安藤 良治
PSマネジメントコンサルティング 代表

 今回は昨年の暮れに書いた原稿をお送りします。

 師走に入り、年の瀬も迫ってきました。2010年を振り返り、何かを学び、そして新たな年を迎えたいものです。年の暮れになると、一年を象徴する漢字が選ばれますが、今年はどんな漢字が選ばれるのでしょう。

 2009年は「新」が選ばれました。

さまざまな「新しいこと」に期待し、恐怖を感じ、希望を抱いた一年
世の中が新たな一歩を踏み出した今、新しい時代に期待したい

 2009年の「新」には、政権交代や米国新大統領の就任、スポーツ界ではイチロー選手の新記録、ボルト選手や水泳競技での数々の新記録があげられます。また、新型インフルエンザの流行、制度面では裁判員制度、エコポイント、エコカー減税、高速料金特別割引制度などがありました。そして、未来への「新」として、新しい環境技術、世界経済の変化、平和への新たな一歩、新たな時代がはじまる予感などを背景として、「新」の文字が選ばれました。

私が選ぶ2010年の漢字は「還」

 2010年の漢字は、筆者は「還」の文字を選び、2つの「還」から2010年を振り返りたいと思います。

 一つ目の「還」は、チリ北部コピアポ近郊の鉱山落盤事故で地下から救出された作業員33人の生還です。

 8月5日に発生した落盤事故から、10月13日に無事33人全員が救出されたこの事件は、世界中に報道され、暗い材料の多い世界情勢に少なからず明るい材料を提供してくれました。この事故の詳細は、回顧録が執筆されるまで関係者は「沈黙の契約」を結んだということでベールに包まれている部分も多くあります。しかし、地下700mの暗闇で地上に生存が確認されるまでの約2週間は壮絶な日々であったことは想像に難くありません。

 2番目に救出されたマリオ・セプルベダさんは英紙に、「真っ暗な地下の墓場で絶望と戦う日々」と語っています。そんな状況で、どのようにして33人が過ごしたのでしょう。これは、極限状態でのチームの活動がどうあるべきかを考える参考になります。

 54歳のルイス・ウルスアがリーダーになり3つのチームに分かれたこと、何かを決めるときには多数決で決めたこと、シェルターの中を常に清潔にするため、排便は穴を深く掘り、たまるとドラム缶に詰めて砂をかけて蓋をしたこと、などは明らかにされています。