大西 秀樹
埼玉医科大学国際医療センター精神腫瘍科教授

 上司の大塚課長のところに新井さんの診断書が届きました。診断書には

「診断:うつ病。本日より3カ月間の自宅安静を必要とする」

とあります。

うつ病とは何かを正しく理解する

「うつ病?昨日までふつうに働いていたのに?彼がうつ病なんて信じられないよ。係長になったことだし、引き続き業績を上げてもらおうと発破をかけていたところだったんだよ。最近、ちょっと元気がない感じで、彼にしては珍しくミスが続いたから疲れているのかなくらいに思っていたんだけど・・・。内科の検査でも異常なしだったんだろ?なのに3カ月も休まないといけないのか?彼の担当しているプロジェクトはどうなるんだ。ただでさえ人が足りないのに・・・」

 大塚課長のぼやきを聞いた竹村さんは、大塚課長に対し今までの経緯を話すことにしました。

「実は、新井さんに精神科の受診を勧めたのは私です。彼から相談を受けて話を聞いていたら、以前に研修会で勉強したうつ病の症状に似ていたので・・・。精神科の受診を勧めたら、そこは心の弱い人が行くところだとかなり嫌がっていました。でも自分の友人が精神科を受診して良くなった話をしたらようやく分かってくれたみたいです。研修会の資料がこれなんですが」(下記参照)

うつ病の臨床症状の特徴と治療について

【臨床症状の特徴】
身体症状が目立つ場合があります
内科、外科を受診して異常がないと指摘される場合もあります
患者さんは症状に苦しんでいます
苦しみから逃れるために自殺を考えることもあります

【治療について】

  1. 抗うつ薬の服用
    抗うつ薬は効いてくるまでに2週間以上かかることがあります
    効かない感じがするからといって、自己中断することはよくありません
    抗うつ薬は十分量使用することが大切です
  2. 安静
    特に病初期、安静が必要となることがあります
    安静度については医師とよく相談して下さい
    動けるからといって、無理に動くことは症状を悪化させることがあります
  3. 治療経過
    症状は2週目過ぎから徐々に改善してきます
    一度にすべての症状が改善するわけではありません
  4. 職場復帰の際の注意点
    職場復帰の際は、仕事の量・質ともに段階的に上げることが大切です
    復帰の際は、専門家とよく相談することが大切です