安藤 良治
PSマネジメントコンサルティング 代表

 少し前になりますが、8月16日、経済産業省より「クラウドコンピューティングと日本の競争力に関する研究会」報告書(http://www.meti.go.jp/press/20100816001/20100816001-3.pdf)が発表されました。既に確認された方も多いことと思います。クラウドコンピューティングの進展を「クラウド革命」と捉え、興味深い報告となっています。この報告書から、次の点を取り上げ、既に始まっているクラウドコンピューティング時代に求められるIT人材を考察したいと思います。

「システムインテグレーション事業者の構造変化」(報告書26ページ)
 「システムインテグレーション事業者(SIer)は、受託開発システム市場が標準化されたクラウドサービスに代替されることによって大きな構造変化に直面する。
 大手元請け業者は、クラウドサービスをポートフォリオに組込んで、企業内システムとクラウドコンピューティングのハイブリッド連携を構築するとともに、受託開発部分についてソフトウェアエンジニアリング手法を活用した合理化やアウトソーシングを活用して一層の効率化を追求し、クラウドコンピューティング部分は既存ソフトウェア資源をプラットフォーム化してクラウドサービスとして提供する。
 クラウドコンピューティングを活かすための利用者側の事業プロセス改革に参画し、業務プロセスのソーシングを引き受けることで、受託開発システム市場の減少分を補って余りある事業機会が生まれる。 また、クラウドコンピューティングを活かした社会システムを機器メーカやユーティリティ事業者と一体となって構築して海外展開するといった、事業機会も生まれよう」

 報告書は、クラウド革命を「我が国のシステムの特徴である高信頼で、きめ細かなサービスを武器として、国内企業が海外市場を開拓する千載一遇のチャンスと捉えることができる」として、前向きで明るい未来を実現するためのロードマップも展開しています。

政府レベルの対応で遅れる日本

 ITに関する雑誌やWebニュースは、連日「クラウド」のキーワードを前面に持ってきています。日本のクラウド事業もいよいよ普及期に突入した感があります。しかし、報告書が述べるような千載一遇のチャンスといえるでしょうか?

 米国では、連邦政府のCIOに34歳という若いクンドラ氏を任命し、政府のITコストの削減に寄与することをミッションに取り組んでいます。民間企業では、オラクル社がサン・マイクロシステムズ社を買収、インテル社は約6500億円でマカフィー社を買収するなど新しい時代に向けた再編が進んでいます。韓国では、クラウドコンピューティング政策のビジョンと目標を明示して、国レベルで取り組み、シンガポールでもIntelligent Nation 2015 Master Planによる国家のIT戦略に取り組んでいます。

 一方日本の取り組みはどうでしょうか?