安藤 良治
PSマネジメントコンサルティング 代表

 タイトルの言葉は、野中郁次郎氏と竹内弘高氏による著書「知識創造企業」の一節です。発刊から既に15年近くを経ても色あせることのないこの書から、現在も学ぶことは実に多くあります。野中氏は、2008年「最も影響力のあるビジネス思想家トップ20」の中に日本人として唯一ランクイン。氏の提唱する「暗黙知と形式知」、「SECIモデル(組織的知識創造の行為)」は、世界にインパクトを与えています。

 アジャイルソフトウエア開発手法の一つである「スクラム」は、1986年1月のHarvard Business Reviewで竹内氏と野中氏が発表した「The New New Product Development Game」というセミナー資料が起源となっています。スクラムとは、ラグビーのスクラムにちなんでつけられた名称で、素早い(アジャイル)開発が求められていた現場で開発された手法です。

 野中、竹内両氏は、新製品開発における順次的な「リレー」アプローチと重層的な「ラグビー」アプローチを比較して、職能横断的なチームメンバーが最初から最後まで一緒に働き、彼らの絶え間ない相互作用が働く「ラグビー」アプローチの優位性を説きました。この「ラグビー」アプローチからヒントを得たのが、スクラムソフトウエア開発なのです。

 ビジネスアナリシスの国際団体IIBAは8月5日、「Agile Extension to the Business AnalysisBody of Knowledge(Draft for review)」を発表しました(英語版のみ:http://iiba.info/AgileBABOK1)。アジャイルソフトウエア開発とビジネスアナリシスが、どう融合し連携していくのか、ITの人材育成にかかわる方々はウォッチしておく必要があるように思います。

 筆者は、7月7日ヒューマンキャピタル2010の基調講演「実践的知恵が拓く経営の活路」と題した野中氏の講演を聴講しました。今年75歳を迎えるとは信じられないほどエネルギッシュに語られる氏の講演に感銘し、改めて「知識創造企業」を読み返しました。