植田寿乃
キャリアコンサルタント/ダイバーシティコンサルタント

「いや~、男性管理職向けの講演に部下の女性達を一緒に受けさせるなんて、うまくいくとは思えません。両方とも話さないんじゃないでしょうか?」
「そうですよ。男性管理職だって部下の女性がいたりしたら気になるし、女性だって遠慮してしまうでしょう?」

 最近、企業のダイバーシティの啓蒙の中で、男性管理職の意識改革を意識した講演に関して女性部下と一緒に参加する形を強く提案しています。しかも、強制ではなく、なるべく上司が部下の女性に声をかけて参加をする形です。すると、その提案をしたほとんどの会社で同じ反応がおこります。

なんで、そんなことをするのか?
うまくいかないのではないか?
男性管理職だけ、女性だけと別々に集めて講演をするほうが良いのではないか?

と言われます。

男性管理職の意識改革研修なのだから・・・

 企業では研修や講演を、階層別や職種別など対象を明確にしてやることが当たり前でした。共通項のある参加した人達が講演や研修を通して、これまた共通の知識やスキル、気づきを得ることが重要とされてきたからです。男女混合は同じ職位においてであれば当たり前でも、まさか上司と部下といった形で一緒に参加するというのは、全く発想の外のようです。また、最近では増えてきた研修や講演への自主参加形式ですが、上司が部下を誘って出るというのも、また大きなハードルがあるようです。

 担当者を説得して、いざ講演となっても、主催者側の不安を写しだすように、一部を除いて男性達、女性達ときっちり別れて座る光景がいつもの形です。しかも、何でこんなふうに集まっているのだろうという不思議感、不信感が漂っています。

 そこで、私が一番にするのが席替えです。女性が少なければ女性に立ちあがってもらい、席を移動してもらいます。「女性活躍推進、ダイバーシティ推進のお話なので、男女混合で座っていただきたいのです。だから女性の方ご協力ください。見回して、この人なら隣に座ってもいいわと思う男性の横に動いてください。この人の隣は嫌というところは、座らなくていいですよ。男性の方、もし隣に女性が座ってくれなかったら・・・。どういうことか判りますね?」

 男性が少ない時には、男性に対してお願いします。「男性の方、ご協力お願いします。女性の間に座ってください。でも女性があなたはダメと言われたら諦めてください。女性の方は拒否権を発動してもいいですよ」

 笑いの中で席替えが終わった時に、もう会場の雰囲気は変わっています。そして、講演の中での数回のグループ共有の場面を経ると2時間後、3時間後には信じられないくらいの笑顔で皆が打ち解けて話しています。会場の温度は2~3度上がったように感じます。

 こういう姿こそが、私たちが求める女性活躍推進、ダイバーシティ推進の姿なはずです。本音で、女性と男性が話をしている。お互いの話に耳を傾けている。それが日常的にできることこそが、実は一番重要なポイントです。階層別、職位、職種で行う研修は業務に必要な知識やスキルであれば有効かもしれません。しかし、組織改革、風土改革においては、視野・視点を狭めることになります。