河合克彦
株式会社 河合コンサルティング 代表取締役

 前回は「付加価値」について掘り下げました。今回は、まず要員管理について説明します。そして最後に、「これからの総額人件費・要員管理」をまとめとして解説します。

効率要員(効率要素)と効果要員(効果要素)

 要員管理は経営目的達成のために最適な人的資源を確保・配置することです。経営目的達成のためというのが第一の要件になっています。ギリギリの人員を確保するためにあるのではありません。ましてリストラをするための道具でもありません。経営目的を達成するためには改善・開発をする必要があります。新規取引先を開拓する必要があります。

 そこで要員を次の二つに分けて算定することが必要です。(1)効率要員(効率要素)と(2)効果要員(効果要素)です。

  1. 効率要員(効率要素)

  2.  効率要員とは当面の事業を行う上で最低限必要な人員です。効率要員が欠けると当面の事業運営は難しくなるような人員です。効率要員は仕事の効率のみが問題とされるので効率要員と名づけました。仕事をできる限り効率的に行って、効率要員はできる限り絞ることが必要です。
     通常、効率要員となる者は次のようなものです。パート・アルバイト・派遣社員(通常パート・アルバイト・派遣社員は業務の必要に応じて雇用されるので)、製造部門の作業員、品質管理部門の検査員、営業部門の営業員、百貨店等など売り場に最低限必要な店員、総務・経理・人事部門で定常業務を行っている事務員、病院の看護師など。
     効率要員の算定は作業量方式あるいは経営採算方式で行います。小数点以下の人員は実態をみて切上げまたは切り下げを行います。
  3. 効果要員(効果要素)
     当面の事業を行う上で、いなくても事業運営はできるのですが、より多くの顧客満足を与えるためとか、将来の付加価値獲得のために必要な人員です。通常、効果要員となる者は次のようなものです。営業部門の新規開拓専門部隊、研究開発部門などです。
     効果要員がいなければ、長期的には事業は衰退します。効果要員は多いほどよいのですが、現在の付加価値に基づく総額人件費の範囲内で納めなければ、現在の事業運営が赤字になるおそれがあり、事業運営に支障をきたします。

 上図ケース1の場合は効率要員+効果要員は総額人件費の範囲内に納まっており問題はありませんが、ケース2の場合は効果要員を増やした結果、効率要員+効果要員は総額人件費の範囲を超えており赤字が発生する可能性があります。ケース2の状態が全くいけないということではありません。創業期では敢えて効果要員を増強する場合もあるでしょうし、特に現在のような不況期に、確固たるビジョンに基づいて、効果要員を増強して、来るべき企業成長の基盤作りを行うという戦略をとることもあり得ます。効果要員は多いほど、将来の付加価値が増えますが、効果要員増加の限度は基本的には現在の利益の範囲内です。

 効果要員は次のように算定します。

  1. 効率要素と効果要素
     上記は効率要員、効果要員と「要員」といって、一人ひとりが効率要員、効果要員であるというような感じですが、実際は一人の人が効率要員の要素(効率要素)と効果要員の要素(効果要素)を持っているといった感じです。
     例えば、下図のAさんの仕事は効率要素のみですので、効率要員といって差し支えないと思います。Bさんの仕事は効果要素のみですので、効果要員といって差し支えないと思います。ところがCさん、Dさんの仕事は効率要素と効果要素が合わさっています。Cさんの仕事は効率要素が過半を占め、Dさんの仕事は効果要素が過半を占めています。多くの人はCさん、Dさんタイプではないかと思われます。そういう意味で「効率要素」、「効果要素」と呼ぶこともあります。