水木 さとみ
ホスピタリティー・トータル・カレッジ理事長

 複雑な現代社会を背景に、心理・社会的ストレス(日常の出来事から生じるストレス)は、年々増加の一途をたどっています。

 では、もし、このようなストレスがなくなったら、一体どうなってしまうのでしょうか? アメリカのある心理学者が興味深い実験をしました。何名かの被験者に協力を得て、各自、個室に入ってもらいます。個室は、温度が一定で匂いも音もなく、うす暗い部屋に一定時間過ごしてもらいます。

 つまり、全く刺激のない環境(ストレスのない環境)を設定しています。結果は、大半の被験者は、体温機能の調整がうまくいかないことが明らかになりました。人は寒いと鳥肌が立ちます。逆に暑いと汗が出ます。けれども被験者の多くは、そういった反応を示さず、室温に関係なく調整機能が鈍っていました。

 また、暗示にかかりやすいことも明らかになりました。個室から出てきた被験者に「あなたはころぶ!」と大声で叫ぶと、被験者の多くは、ひざはガクッとしてよろけてしまったり、中には、実際にころんでしまう者もいたということです。

 この実験は、刺激のない状況(ストレスのない状態)にずっと置かれていたら、生命の危険にも繋がっていくとことを物語っています。ある意味、ストレスは人間が生きていく上で大切な要因であるようです。

 実は、ストレスには「良いストレス」と「悪いストレス」が存在します。言い換えれば、自らの気持ちとコントロールの仕方で、ストレスの質を決めるといっても過言ではないでしょう。