大西 秀樹
埼玉医科大学精神腫瘍科教授

 皆様方、忙しい日常に身を置いていることと思います。

 満員電車に揺られ、職場に着いたら山のような書類。今日1日で終わるのかと思いながら仕事を始めると、予想外の電話対応。予定の仕事が終わらない・・。

 昼ごはんもままならず仕事をすると会議の時間。いつもながらの業績報告。業績で上司にはっぱをかけられる。いつもながらの無理な注文。途方にくれるともう夜八時・・・。

 残った仕事を何とか仕上げ、終電乗り継ぎ、家に帰ると皆寝ており食事もない・・・・。

 翌日も同じことの繰り返し。仕事量を減らそうと思っても、みんな自分の仕事に苦しんでいる。仕事を渡す人がそもそもいない。もう辞めてしまいたい・・。

 このようなことは今まで何回も経験してきたと思います。出社してからの一つひとつのことが、心と身体に深く影響を及ぼすことばかりです。

 この一つひとつがストレスの典型です。ストレスとは、心と身体に対して影響を及ぼすもの(これをストレッサーと言います)によって引き起こされた心身の状態をいいます。

 いま挙げたように、過重な仕事、評価が認められないこと、人間関係の複雑さ、先行き不透明感等、身の回りには多くのストレッサーがあり、私たちは多数のストレッサーに囲まれて生活をしているといっても、言い過ぎではありません。また、そのストレッサーは簡単に取り去れるものでもありません。

 すべてのストレスが悪いわけではありません。たとえば、適度な仕事は、責任感、充実感、向上心などを生み、作業能率を向上させ、心身を安定させるのに役立ちます。