細川馨
ビジネスコーチ(株) 代表取締役

 前回は、現代の若者を取り巻く荒んだ職場の現状とその原因を知るとともに、若者を育成する前に、リーダー自身が自己改善するために知っておくと良い『思考の枠』および『20の悪癖』についてお話ししました。今回は部下との信頼関係を築く秘訣『承認』に焦点を当てながら、チームを体感させることの重要性について解説していきたいと思います。

まずは相手を認めることから始まる

 『承認』については以前もコラムでお話ししましたが、「若手」を育てる上で重要なポイントになります。

 簡単におさらいすると、『承認』には「行為に対する承認」と「存在に対する承認」があります。「行為に対する承認」は、相手がとった行動やその行動から生まれた結果に対して「ほめる」「評価する」「感謝する」「叱る」といったアクションをとることです。これに対して、「存在に対する承認」は、あいさつをしたり、名前を呼んだり、変化に気づくなど、相手の存在を認めるアクションをとることです。

 「最近の若者はあいさつをしない(その他、お礼を言わない、礼儀をわかっていない、反応がないなど)」とこぼしているリーダーにお目にかかることがあります。しかし、私が申し上げたいのは、相手がどうこうではなく、リーダーは自らがExample、つまりお手本となることを目指してほしいということです。つまり、上司から率先してあいさつをし、「ありがとう」と言うのです。

 「なぜ自分から...」と思うかも知れませんが、若者に不足している点を嘆いていても事態は好転しません。あいさつをしない若者も上司からあいさつをされれば、自分も返さなければと感じ、実行に移す人が多いと思います。上司自らが模範となってあいさつをすれば、最初はぎこちない返答かもしれませんが、数日続けるうちにしっかりと返してくるようになるでしょう。

 「存在に対する承認」や「行動に対する承認」によって、上司から認められている、この組織の一員なんだ、という「所属の欲求」を満たしてあげることが大切です。そして、『承認」をする際に肝に銘じておかなければならないのは、第1回目にお話ししたように、現代の若者が育ってきた環境がリーダー世代が育ってきた環境とまったく異なるということを認識しておくことです。

 現在の姿は過去の蓄積によるものです。育ってきた環境を理解する、相手を理解するという2つの目的から、どんな幼少時代を過ごし、学生生活を送ってきたのかなどを積極的に聞くことをおすすめします。

 「両親はどんな人でしたか?」
 「子供の頃はどんな勉強が得意でしたか?」
 「学生のときはどんなスポーツをしていましたか?」

 このような質問によって、どのような環境で育ってきたかを知るとともに、本人が得意とすることややりたいと思っていること、喜びと感じるものを知ることができます。ただ、このとき、唐突に質問をしないように気をつけましょう。「若手」に質問をする前に、まずは上司から先に自分のことを話すのです。

 「私は学生のときに野球部に入っていたよ。みんなで団結して勝利したときには本当に嬉しかった」
 「私の得意科目は数学だった。難問になればなるほど、燃えたものだよ」

 上司が率先して話すことで、若手も話しやすくなるのです。